上場企業勤務者を対象にした調査によると、うつ病に対して「職場に偏見がある」と考える人が、「現在通院中」の人では8割以上に上ることが分かった。調査元は「病気に対する正しい理解と接し方の『ガイドライン』を整備して、周囲の『漠然とした不安』を払拭することが必要」としている。
通院中の人の8割が「職場に偏見がある」と回答
病院検索・口コミサイトの「QLife」は2009年7月29日、「職場のうつ調査"偏見と本音"編」を公表した。回答者は「全国の上場企業勤務者」300人。
それによると、うつ病に対して職場に偏見が「ある」(「大いにある」「ややある」の合計)と回答した人は、男性では6割強、女性では7割。「現在通院中」の人では、8割以上の人が「偏見がある」と答えている。また、過去に通院歴がある人、未治療の人といった当事者も「偏見」を感じる傾向が高くなっている。
「職場に偏見がある」とする人が回答した具体的な内容は、
・「ダメ人間、サボリ、わがまま、怠け者に見られる」
・「第一線から外れ、重要な仕事が与えられない」
・「冷やかし、叱責、非難、嫌味を言われる」
といったものが上位になった。
また、「うつ病の人とは一緒に仕事がしにくい」という回答は、「現在通院中」の人では3割程度だったのに対し、「うつ病経験が全くなし」の人では約半数にも上った。
「どう接してよいか分らない」という戸惑いが双方のストレスに
具体的に「一緒に仕事がしにくい」と思う理由は、
・「気を遣わなければいけない」
・「多く休む/突然休む」
・「(仕事を)任せられない」
といったものが上位になった。自由回答には、
・「忙しい中で無意識に言ってしまった言葉でうつが悪化してしまいそう」(40代男性)
・「体調の波が激しく、期限までに仕事が終わらないリスクがある」(50代女性)
・「作業途中に発症したら手当てに自信がない」(50代男性)
という意見があった。
この結果について、QLife(キューライフ)の山内善行氏は、
「うつ病経験者が職場復帰しやすい環境をつくるためには、周囲の『漠然とした不安』を払拭する必要がある。『どう接してよいか分らない』という戸惑いや接触逃避が、患者と同僚の双方にストレスになっている。
病気に対する正しい理解と、患者に対する接し方を示した『ガイドライン』を整備することが望ましいのではないか。例えば『〝心が弱い〟ように思える時でも、〝これは病気の症状。病気が治れば立派な人に戻る〟と考えて接する』といった内容を、専門家の力を借りて作るべき。今後の関係者の課題になるだろう」
とコメントしている。