娘が「友達から預かったプリクラ画像」を消してしまった!

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「わたしたちとは、ちょっと感覚が違うんでしょうかね……」

   関東に住む50代の主婦A子さんがつぶやきました。

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食事中も手放さなかったケータイに興味をなくした娘

   A子さんには高校生の娘さんがいます。もちろん、イマドキの子どもですから、ケータイを手放すことはありません。

   ところが、最近、変化がありました。

「ご飯のときも、テーブルの上やポケットのなかに入れて手にしていたケータイを、あまり手にしたり見たりしなくなったんです」

   これまでは、ご飯のときにケータイをいじっていたら、「あんた、いい加減にしなさいよ!」と強い調子で怒っていました。

「だから、いまさら『最近、ご飯時にケータイいじってないけど、どうしたの?』なんて聞けないじゃないですか(笑)。で、気にはなっていたんですけど、なかなかそのことに触れられなくて」

   A子さんは、すでに一人、娘さんを育てて社会に送り出していますから、何か友達か交際相手かとトラブルがあったな、とは勘づいていたといいます。

ケータイの貸し借りは「財布の貸し借り」と同じでは?

   真相がわかったのは、たまたまでした。

「ちょっとした出来事があって、『あんた、最近おかしいわよ』って話をする機会があったんです。そうしたら、娘が『実は……』、と」

   ある時、娘さんは仲の良いグループとゲームセンターに行き、プリクラを撮りました。でも、そのなかの一人のケータイが電池切れを起こしてしまい、自分のプリクラを娘さんのケータイを借りて保存したのだそうです。

   最新のプリクラ機は、メールや赤外線通信で1度だけケータイに画像データを送ることができるのです。メールなら自分のアドレスを入力するだけでよいため、おそらくは赤外線通信で保存するタイプの機種だったのでしょう。

   ところが、娘さんがそのデータを誤って消去。すぐに謝りのメールを入れたのですが、友人から「信じられない! 感じ悪い!」となじられてしまっていたのでした。

「でも、ケータイって、ものすごく個人的な道具じゃないですか。女の子が自分好みのデコレーションをするのも、自分だけの物っていう意志表示だと思うし、なにより自分を含めて、自分の関係する人の個人情報が詰まってますよね?
それなのに、他人と本体の貸し借りをして平気っていうのが、どうも感覚が違う。財布を忘れたからといって、『ちょっとおつり入れといて』なんて、財布の貸し借りはしないじゃないですか」

   言われてみれば、確かに。

   画像データ消去のほうは、時間が解決してくれるわよ、と娘さんを慰めたA子さんでしたが、ケータイ本体の貸し借り≒財布の貸し借りが将来、別の大きなトラブルを招くのではないかと不安になるのだそうです。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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