通勤中に大手企業のバッチをつけたビジネスマンが、高級腕時計をつけているのを見かけると、「あの会社、どのくらい給料もらってるんだろう」なんて思うことがある。ネット上には、そんな疑問に答えてくれるサービスがあるが、どうしても自分と比較してしまうので、精神衛生上、疑問は疑問のままにしておいた方がいいかもしれない。
学生の「就活」にも使われる「転職のモノサシ」
ウェブメディア企画のイルナは、上場企業の年収を試算して表示する「転職のモノサシ」を2008年から運営している。シミュレーションの基となる数値は、金融庁のEDINETのデータなど。年収に関するデータをさまざまな観点から比較して試算しているという。
閲覧できるのは、各上場企業の年齢別の年収シミュレーションと、業界年収との比較。直近5年の年収推移や業界別の年収、「推定生涯賃金」のランキングも表示している。2009年7月16日からはモバイルでの閲覧も可能になった。
例えば、検索の多い企業から「ソニー」を選んで検索してみると、全上場企業の平均年収が585.6万円、「電気機器業界」の平均年収が610.8万円なのに対し、ソニーの平均年収は980.6万円と、これらを大きく上回る。全上場企業平均とは400万円近い差である。過去5年間の推移は「横ばい」とはなっているが、2008~2009年あたりは右肩上がりになっている。
また、年代別に見ると、45歳以上50歳未満のソニー社員の年収は1010万円にのぼる。ただ、他社の同じ年代と比べると、朝日放送が1563万円、フジ・メディア・ホールディングスが1576万円、パシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングスが1756万円と、上には上がいることも分かる。これらの会社は、同じ年代の全上場企業平均680万円の2倍以上の年収を得ていることになる。
イルナ代表の矢作嘉男氏によると、現在の月間ページビューは100万ほどだという。
「転職者を想定して始めたサービスですが、最近は就職活動を控えた学生のアクセスが増えています。今年2~3月ころにアクセスが急増し、モバイル対応の要望が多くあったので、7月から提供を開始しました。来年度に向けて、さらにアクセスが増えることを期待しています」
なお、あくまでシミュレーションであり、入社すればその年収が保障されるわけではない。すでに2009年の最新データを基に、更新がほとんど済んでいるという。現在勤め先のあるビジネスパーソンは、転職市場が冷え込んでいるので、当面は興味本位で楽しんでみてはどうか。