ある調査によると、オフィスで働く女性が「幸せ」を感じる要素には、「仕事」や「職場環境」だけでなく、「家族」や「パートナー」の存在が大きく影響していることがわかった。私生活を職場に持ち込まずに仕事を最優先する「男の職場」とは価値観が異なるが、女性の登用と活躍を図るためには、この考え方を変える必要があるかもしれない。
「今、幸せです」既婚者が未婚者を28ポイント上回る
OLのためのフリーペーパー「シティリビング」は2009年07月13日、OLの「幸せ」に関する実態調査を公表した。調査対象は、シティリビング公式サイト「Citywave」上のアンケートに回答した女性400人、平均年齢33歳。「シティリビング」はオフィスで働く女性向けに無料で配布されているので、ここでは、一般事務を中心としたオフィスで働く女性を「OL」と呼んでいるようだ。
それによると、「あなたは今、幸せですか?」という質問に対し、「幸せです」と答えたのは回答者の70.5%となり、不況にもかかわらず高い満足度となった。ただし未婚・既婚別に見ると、未婚者が「幸せです」と答えた割合が61.3%なのに対して、既婚者は89.3%にのぼり、既婚者の「幸せ度」が全体の数字を押し上げていることがわかる。
「幸せである理由」について「仕事」を挙げた人は70件で1位。ただし、具体的な回答を見ると、
・やりたい仕事が出来ていて職場の人間関係もいいし、プライベートも充実しているので。(24歳・未婚)
・仕事があって、内容も楽しいし、好きな人もいて、愚痴を聞いてくれる友達もしるし、まぁまぁ恵まれた環境にいると思う。(31歳・未婚)
となっており、単純に「仕事内容」に満足しているだけでなく、「職場の人間関係」や「プライベート」が充実している状態を「幸せ」と感じているようだ。
また「健康」を理由に挙げた人は44件で2位。「家族」が35件、「結婚」が22件、「子供」が12件と続いた。こちらの回答も、
・子供の成長や寝ている姿を見るだけで本当に幸せで、仕事と両立できている自分に満足できているので幸せです。(36歳・既婚)
など、「仕事とプライベートの両立」がポイントになっている。
OLは「仕事」も「家族」も充実して「幸せ」を得る
一方「幸せではない理由」については、「仕事」が17件、「彼やパートナーがいない」が10件、「結婚」が8件、「お金」が6件、「恋愛」が4件だった。具体的には、
・仕事がつまらないし、プライベートでも夢中になれるものがないから。(24歳・未婚)
・最近とても恋愛したい。恋愛欠乏症。(33歳・未婚)
といったように、プライベートが充実していないことが、仕事を含めた日常生活に悪影響を与えているように見える。
また、「何をしているときに一番幸せを感じますか?」という質問に対しては、1位が「おいしいものを食べているとき」で20.0%。2位以下は「家族と過ごしているとき」(18.3%)、「恋人と会っているとき」(13.3%)、「趣味など好きなことに没頭しているとき」「海外旅行に出かけるとき」(ともに9.8%)となった。
今回の調査に携わったサンケイリビング新聞社の堀弘昌氏は、次のような分析をしている。
「いまOLさんたちは、仕事生活をより充実させたいと考えている一方で、『家族』や『パートナー』などと過ごすプライベートも充実させたいと考えています。仕事も恋も手に入れてこそ『幸せ』を実感できるのではないでしょうか」
今後、各職場では女性の登用がいっそう必要になってくる。会社は単に重い責任を伴う仕事を任せるだけでなく、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」の取れた環境づくりに気を配ることで、生産性とモチベーションの向上が可能になるのではないか。