新入社を期に、4年ぶりにケータイを新しくしたA子さん。
学生時代には体育会でスポーツに打ち込んでいて、「ケータイは親元や交際相手、親しい友人との通話やメールができればいい」ぐらいにしか思っていませんでした。
なので、久しぶりにケータイショップに行って機種や機能の説明を受けても、「正直、サッパリ」。
同僚に「着うた」をダウンロードしてもらったが
基本的な機能とサービスだけでいいと伝え、とにかく新しいケータイを入手したのでした。
「ところが、機種を更新して初めての料金請求の前に、パケット通信料が3万円とか言ってきて、もうビックリ。フツーに通話とメールしかしてないのに……」
あわてて電話会社に連絡して説明を受け、A子さんはやっと思い当たりました。
「会社で仲良くなった女の子たちと飲みに行ったとき、『なんだ、A子のケータイ着うたも入れてないの?』とか言われて、わからなかったので『やってよ』って言って入れてもらったんですよ。ついでにって言って、好きな歌手の曲とかも」
パケット定額制を知らず、通常の通信で楽曲をダウンロードしてしまったために、料金が高額となってしまったわけです。
「買うときにちゃんと説明を聞かず、説明書もまったく読んでなかったこっちが悪いし、こっちから頼んで好意でやってくれた彼女たちは悪くない。そう思ってはいるんですけど、なんか納得感が薄いんですよねぇ」
「イエス」「ノー」でオススメ機種が分かればいいのに
それとなく、会社の同僚に高額請求のことを言ったら、「ケータイ便利に使うなら、パケホ(パケット定額サービスの「パケ・ホーダイ」)はマスト」と笑顔で言われたとか。
一瞬、新しいイジメの手口かなとも思ったそうですが、そうでもありませんでした。職場でもプライベートでも、いまでもとても仲良しグループです。
「ケータイ買うときに、もっとわかりやすい説明してくれたらいいのに、って思う。イエス、ノーのチャートみたいなの、あるじゃないですか。恋愛とか適職診断とか。ケータイもああいうので説明してほしい。
『主な使い道は通話?』でイエス、『ネットによく接続する?』でノー、『着うたは要る?』でノー、『カメラは高画質?』でイエス、『あなたにぴったりの機種はこれ、料金プランはこれ』みたいに一人でたどっていけるやつ。
新幹線チケットも自動で買える時代なんだし、ケータイも新幹線の券売機みたいなの導入して、出てきたアンサーを書いた紙を店員に渡してお金払えば買えるってすれば、みんな納得して買えるんじゃないですか? 正直、ケータイショップの店員の説明ってわかりにくいし、待たされたり、後ろで待ってたり時間も気になるし」
これを情報弱者と切り捨てるのは簡単ですが、実際に説明の意味や用語がわからないという人は意外といたりします。こういうのって、苦手意識をもっただけで「もう、わかりません!」ってなったりするものですし。
サービスや機能が拡充して便利になるのは歓迎ですが、そのぶん、ユーザー側のキャッチアップも簡単ではなくなってしまう。なかなか大変な時代です。
井上トシユキ