その7「グッズが売れるのは、はてなに愛着を持ってくれる人のおかげ」
――はてな副社長・川崎裕一氏
「ネットサービスを『だれが』『なにを』受け取っているのかという観点で考えると、4つのタイプに分けられる。(1)『自分が、モノを』受け取るタイプ(2)『自分が、サービスを』受け取るタイプ(3)『他人が、モノを』受け取るタイプ(4)『他人が、サービスを』受け取るタイプ。
『自分が、モノを』受け取るというのは、グッズ販売みたいなもの。ユーザーがコミュニティに対して愛着を持っている場合、モノとしてお金を払ってもいいという人がいる。はてなでいうと、はてなTシャツやはてなダイアリーブック、はてなブックマークストラップなど。これは、はてなに愛着を持っているから、買ってもらえる。
『自分が、サービスを』受け取るというのは、サービスの有料オプションを払う場合。こういうサービスにお金を払う人は先進的利用者で、新しい機能や容量の拡大を好む。はてなでは「はてなプラス」で、かつての有料オプション。ブログサービスやブックマークサービスや機能拡張が提供されている。
『他人が、モノを』受け取るものの代表は、アバターやアイテムへの課金。アバターを純粋に自分のために買っている人はほとんどいなくて、服みたいに他人にアピールしている。アバターやアイテムを買って、他人との差別化をしたいということ。はてなでいえば「はてなスター」。これで感謝や感動、尊敬を提供することができる。
『他人が、サービスを』受け取るというのは、例が思い浮かばないが、人に対してサービスをあげてしまうというタイプ。自分はいいから人を育てたいということで、コミュニティをいかによくするかを考えている人なので、教育者と考えられるが、はてなではまだ、あてはまるサービスがない。
この中では、最初のグッズ販売がはてなでは好評で、自分のブログを本にする『はてなダイアリーブック』はすごく受け入れられているし、『はてなブックマークストラップ』も800円するのに2日で完売した(ただし、50個だけの販売だったが)。はてなに愛着を持ってくれている人がいるので、こういうビジネスも成り立つ。
3番目のタイプにあたる『はてなスター』は、任天堂のDSi用に開発した『うごメモ』でよく使われていて、子供とその親が主なお客さま。『うごメモ』で面白いのがあったらスターをつけるという文化が広がっていて、自分の子供や周りの子供にスター寄付をつけるというのも増えている。
グッズは自分のためだけだが、スターは他人のためなので、自分と他人という双方向の関係が生まれ、影響力が大きい。人が人を呼ぶ仕掛けになっていて、大きな発明だと考えている」