その2「サイトで人気がある機能は有料化しないほうがいい」
――ピクシブ社長・片桐孝憲氏
「ピクシブ(pixiv)はイラストを投稿するコミュニティサイトで、2007年9月にスタートした。ユーザー数は約100万人。イラストが一日1万枚~1万5000枚投稿されている。月間で7億1000万PV。ピクシブを支えるサーバは基本的にビックカメラで買って組み立てて調整している。約140台あって、半分がデータベースサーバとなっている。
最初はマネタイズよりもインフラを安く作るのに集中していて、1年ぐらいまったくマネタイズのことはやらなかった。会員数が30万人を超えたあたりからマネタイズを始めた。現在のピクシブの収益源は、(1)純広告(2)オーバーチュアを使ったコンテンツマッチ広告(3)アマゾンのアフィリエイト(4)有料会員(月額525円)。いまはアフィリエイトと有料会員に力を入れている。
ピクシブには、アニメ・ゲーム・フィギュアや、絵を描くことに関心が高いユーザーが多く集まっている。アマゾンでよく売れた商品は、(イラストレーターhuke氏のオリジナルキャラクターをフィギュア化した)「ブラック★ロックシューター」と、『萌えキャラの上手な描き方』という書籍。あと、ピクシブ関連の本も売れている。
いろいろ試した結果、平等にいろんな商品を紹介するよりも、売れている商品を集中的に出すほうが効果的だとわかった。ユーザーが1個ちゃんと買えば、ついでにいくつか商品を買うので、それによってアフィリエイトの収益があがる。
よく売れるのは発売前・発売直後の商品で、どこよりも早く紹介するというのがポイント。ユーザーの関心が高ければ、値段が1万円だろうが2万円だろうが関係ない。そのほか、ピクシブ通信というブログで、人気の商品を紹介して収益化をはかっている。
今後はユーザー課金(有料会員)にも力を入れようと思っている。有料機能にしたほうがいいと思っているのは、自己PR・自己表現・自分用カスタマイズに関係するもの。自分のページのレイアウトをかえたり、背景の色を変えたりとか。コミュニケーションのための機能も、消費しやすいのでいい。
有料機能にしないほうがいいものは、サイトの中で人気がある機能。たとえば、イラストのランキングを1~300位まで出しているが、それを有料化してしまうと、サイト自体の魅力がなくなってしまう。一般の人にはどうでもいいニッチなものを有料機能にしていこうと思っている」