今年の新入社員は、将来の収入に対して悲観的な見通しを持っていることが、調査によって明らかになった。「年功序列」や「終身雇用」の要望も過去最高となり、厳しい経済状況を反映した結果となっている。
「年功序列を希望」も昨年比11ポイント増で47.5%
学校法人産業能率大学は2009年6月22日、「2009年度新入社員の会社生活調査」を公表した。それによると、今年度の新入社員は、将来の収入の予想額が過去最低となり、35歳時の「理想の年収」は731万円、「現実を予想した年収」は596万円だった。自分の給料が「下がる可能性も考えられる」という答えは、昨年から倍に増えて18.4%となり、将来の収入に対する強い不安を表している。
キャリアプランの方向性については「現在の勤務先に不可欠な人材となりたい」が 67.9%に上り、「どのような企業でも働ける能力を身につけたい」は32.1%。最初の10年間の過ごし方についても「できるだけ同じ職場にとどまりたい」が過去最高で、初めて5割を超えた。
どのような人事制度を望むかを二者択一で聞いたところ、「成果主義」が52.5%、「年功序列」が47.5%だった。昨年度に比べると、年功序列側に11.1ポイントもシフトし、成果主義と年功序列が拮抗している。また、終身雇用制度については、「望む」が過去最高となる73.5%に達し、初めて7割を超えた。
全体的に保守的、堅実という傾向で、調査には「今年の新入社員は雇用悪化で会社にしがみつきたい」と評価されているが、先行きの見通しが不透明な経済状況下の調査としては自然な結果だろう。
本調査は、産能マネジメントスクールが開催する「新入社員研修セミナー」の参加企業の新入社員を対象に、145社614人の新入社員にアンケートを行い、589人から有効回答を得た。