セールスのプロが説く「無駄足こそ営業の真髄!」

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   不況でモノが売れない…。そんな中、日本で初めて完全成功報酬のみの営業代行会社を立ち上げた人がいる。株式会社セールスジャパンの井崎勝司氏だ。生命保険会社の営業部門などに27年勤務。地域で生まれた新しいビジネスを、営業力を生かして大きく育てる「新・総合商社」の役割を担おうとしているという。そんな井崎氏が説く「営業の真髄」とは何か。

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「効率化すれば販売業績が低下」

――今から25年くらい前、私が新入社員の頃、名古屋支社のベテラン営業員に勉強のために1日同行させてもらいました。午前中に彼女の一番の応援者の社長さんに会いに行くことになりました。

「今から行くお客様には、訪問の約束はとれているんですか?」

   そう質問した私は、彼女にこう叱られました。

「私たちの仕事は、基本的にはノーアポで、するんですよ」

   さらに、彼女はこういいました。

「アポイントというのは、こちらが無駄足にならないようにとるものでしょう。私たちの仕事は無駄足が付き物だし、むしろそれを何回重ねるかが大切なんです。無駄足のひとつひとつが、お客様の心に少しずつ少しずつ響いていくのです。多くの人が途中で諦めるんです。もう少しの我慢なのに……」

   私にとっては生涯忘れることのできない貴重な「営業の心」の研修になりました。

   …住友生命の営業現場でも最近はむしろ「アポイントを入れるほうが効率的」と指導しています。営業現場の「効率化」を追求しているのです。

   しかし、効率化を推進すればするほど販売業績が低下していきます。お客様との「心のつながり」が薄れていくのでしょう。私たち営業マンはお客様と長期的良好関係を築いていかねばなりません。そのためには、「心の部分」を抜きには考えられません。

   名古屋のベテラン営業員が教えてくれたように、「無駄足こそ営業の真髄!」

   私たちは、一見無駄なものをもっともっと大事にしないといけないかもしれません――

井崎勝司著『できる人の「営業力」72の奥義』小学館101新書、57~58頁より)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)
営業員をなくし、インターネット直販で成功している証券会社や保険会社がある。一方で、保険の加入を断られた家に通い、子どもに風船を与えて成約を得る営業員がいる。どちらが古いのか新しいのか、どちらが良いのか悪いのか。結果が重要な「商売」に関しては、こういう評価はあまり意味がないのかもしれない。

できる人の「営業力」72の奥義 (小学館101新書)
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