今年に入ってから、Aさんのケータイに「0120」で始まる番号からの電話が相次ぐようになりました。
「0120って、普通はこちらからかける番号でしょう。なんでこちらにかかってくるんだ、と」
「懸賞に当選しました」と個人情報を要求
電話に出たとたん切れてしまうケースもあれば、音声ガイドが流れることも、インターネットの無線接続への勧誘があることも。
いずれにせよ、「ロクでもない感じ」だったので無視していたのですが、あまりに頻繁にかかってきます。Aさんは、ネットで検索すれば同じ被害に遭っている人もいるのではないか、と思い立ちました。
「『0120』『迷惑』といったキーワードで検索したら、同じような被害のケースを相談する質問サイトへの書き込みはもちろん、どういう仕組みで0120からケータイにかかってくるのかの説明も、出るわ出るわでたくさんヒットしたんです」
Aさんによれば、0120を使った迷惑電話には、いくつかのパターンがあるとか。
ひとつは、ワン切り。フリーダイヤルだからかけ直してもお金がかからないという安心感に付け込むのでしょう。実際にかけ直すと、何かの使用料が払われていないので、音声ガイドに従って個人情報を入力したうえで早急に払え、といった応答があることが多いそうです。
「懸賞か何かに当選したので個人情報を登録しろ、というのもありますね。怪しすぎて普通はガチャ切りすると思うんですけど、事情を知らない人のなかには引っかかるケースもあるんでしょうね」
詐欺の場合も。「迷惑番号リスト」でクチコミを確認
もうひとつは、先にもあった無線インターネットなどの営業電話。
「調べてみると、請負でテレアポ業務をやってる法人や個人はもとより、発信元を隠したい法人や個人が利用する『逆転送サービス』というものがあったんです。これの代表格が、0120番号の利用だったんですよ」
さらに、振り込め詐欺のケースもあるといいます。
「私は経験したことはないですが、ネット上には振り込め詐欺に利用されているといった情報がありました。また、ネット上に迷惑電話をかけてくる0120番号がリスト化されているサイトもあったので、私にかかってきた番号も追加しておきましたよ」
たしかに、知らない、あるいは登録していない番号や非通知設定だと警戒もしますが、0120だと警戒感のハードルが下がってしまい、電話に出てしまう人もいるでしょう。
振り込め詐欺や債権回収を騙った詐欺では、同じ逆転送でも「03」や「06」に偽装できるサービスが使われてきました。これは、一部マスコミでも報道されたことがあります。
0120は、その意味ではちょっと新しい手口なのかもしれません。
よくよく考えれば、Aさんが言うように0120はかける相手先の番号ではあっても、かかってくる番号では通常はないはず。
基本的には無視、あるいは着信拒否リスト行きが正解なのでしょう。どうしても気になるならば、ネット上にある迷惑番号リストに載っているかどうかを調べる、ということぐらいはしたほうがいいかもしれません。
おかしなトラブルに巻き込まれないためにも、十分に注意してください。
井上トシユキ