オーマイニュースはなぜ挫折したか 「敗軍の将と兵」が語った1万字(下)

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「市民メディア」を育てるには時間がかかる

司会 いまPJニュースの編集長をしている小田さんの目からみて、オーマイニュースの参考にしたい部分は?

小田 僕はニュースも重要だが、オピニオンはもっと需要だと思っている。世の中のオピニオンを形成していくうえで、人々のオピニオンを吸い上げるメディアは日本にはあまりない。日本の新聞は「客観報道主義」でファクトだけを伝えていく。読者の投稿欄には新聞社の意向が大きく反映されていて、本当の意味での世論はない。そういうものを形づくっていくという意味での市民メディアは大切だと思う。

会場 オーマイニュースの経験を経た目からみて、今後、日本のインターネット上で市民メディアが成功するために、「お金以外の必須要件」があるとすれば何か?

吉川 オーマイニュースには軸がなかった。「骨がない軟体動物」と言った人もいる。運営する人や参加する人がどういう方向でやっていくのか、方向性がどこに向いているかわからずにやっていくと、オーマイニュースと同じようなものを再生産することになる。

司会 僕は逆に、ネットメディアでは「軸」というクリアなものを作れないのではないかと思う。書く側が自分で軸をちゃんと持って書けるようにしないといけない。書いた人間が、自分で責任をもって反論したり訂正したりして、取材も責任をもってしっかりやる。そういうことがオーマイニュースはできていないことが多かった。メディアとしての軸よりも、個々人の記者の軸ができるように、ちゃんと研修するとか、そうじゃない人を追い出すとか、そういうやり方が必要なのではないか。

村上 デスクの立場からみると、最初はどうしても記事に手を入れたくなった。市民メディアは誰でも投稿できるので「振幅の幅」がすごく大きい。だから、すごく手を入れたくなるが、市民メディアとして考えると、一定の期間続けていって振幅の幅が自然に収斂していくのがいいだろうと思った。やっぱり長く続けることが重要。

   それから、地方から熱心に投稿してくれた市民記者さんもいたが、そういうのはページビューが上がらない。どちらかというと、そのとき世の中で起きている「大きいキーワード」に読者が反応していた。読者の側も「市民メディアとは何なのか」という点について自覚していたのか、疑問に感じた。

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