オーマイニュースはなぜ挫折したか 「敗軍の将と兵」が語った1万字(下)

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「犯罪の告白」は掲載したいテーマだった

司会を担当した藤倉善郎・元編集部記者
司会を担当した藤倉善郎・元編集部記者

渋井 僕も判断は村上さんとだいたい同じ。オーマイニュースに載せたいと思っていたものの一つが、「犯罪の告白」だった。万引きでも傷害でも、そういう体験話はいつか載せたかった。これについては、編集部の中でも賛否両論で、吉川さんは「載せるな」という意見だった。

吉川忠行(元編集部員) 「市民メディアだから多様な意見を載せる」という意見はわかるが、被害者の側に立ったときに本当に載せていいのかと、考えるべきだと思った。

村上 この記事が炎上したとき、編集長は何も言わなかった。でも、あまりにもひどい炎上だったので、平野さんも含め全員にメールして、「掲載判断として間違っていたとは思わないが、掲載したことについて編集部として説明しておくべきではないか」と聞いた。4人のデスク全員の判断として「掲載は間違っていない」ということで、平野さんが直接説明することになった。

司会 オーマイニュースは「左寄りのメディア」だと言われたが?

村上 編集部員が左だったとかというと、むしろアンチ「左派リベラル」の人のほうが多かったと思う。デスクをやってみてわかったが、そもそもそういう左寄りの投稿が圧倒的に多い。オーマイニュースは「市民からの投稿のプラットフォーム」だということを考えると、投稿の7割が左派リベラルだったら載るのも7割でないと、それこそ編集部が思想で弾いていることになってしまう。

会場 編集部として「ここはまずかったかな」というところはあるか?

平野日出木(3代目編集長) 全般的にいうと、作りこみすぎたかなと思う。市民記者の記事を読みやすくすることに時間をかけてしまった。読みにくいままでポンポン出せばよかったが、時間をかけたのは、昔の新聞社記者時代の「あまりコストを考えずにいいコンテンツを作ろう」という悪い癖くせが出たのだろう。

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