オーマイニュースはなぜ挫折したか 「敗軍の将と兵」が語った1万字(中)

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市民記者はオーマイニュースをどう見ていたか?

司会 市民記者として活動していた2人にゲストとして来てもらった。どんな記事を書いてきたのか。市民記者としてオーマイニュースの印象はどうだったのか。

勢芳明(元市民記者) 私は鉄道記事を専門として活動した。もともとカメラがメインで、文章を書くのは初めての経験。2008年4月に蒸気機関車が山梨で走るということで、どこかに書けないかと検索したところオーマイニュースがあって、市民記者に登録して記事を書いた。

市民記者として育児の記事などを書いた黒須みつえさん
市民記者として育児の記事などを書いた黒須みつえさん

   取材しているうちに、鉄道会社との連絡も密になって、自宅のほうにも取材依頼が来るようになった。書いた記事の数は、オーマイニュースで53件、オーマイライフでも53件。鉄道の記事ばかり書いていた。この4月にサイトが閉鎖になる状況でも、鉄道会社から取材依頼がきている。これからの活動先が決まっていないので、この先どうしようかと思っている。

黒須みつえ(元市民記者) 私の場合は主に、家庭的なことや育児の話を書いた。オーマイニュースに記事を書き始めたのは、ちょうど元木編集長に代わるかどうかの時期。それまでのワイワイしていた状況はあまり把握していないので、比較的クリーンな印象から入ったが、参加してみるといろんな話が聞こえてきた。

   記事について編集部の人と直接やりとりすることはほとんどなくて、投稿フォームで投稿すると、いつのまにか体裁がきれいに整えられて掲載されていることが多かった。それまでニュース記事を書いたことがなかったので、書き方をていねいに教えてくれた人も一部にはいる。こういうものが全体的に広がったら、迷ったり考えたりしないでどんどん記事を書いていけたのではないかな、と思った。

司会 市民記者のなかには「編集部に記事を直されるのが嫌だ」という声もあったが、そういう思いをしたか?

 多少はあった。取材で聞いた話と記事の書き方がちょっと違う感じで掲載されたこともある。そういうときは掲載後に修正をお願いした。

黒須 私は嫌な直され方はなかった。自分自身はそういう体験はなかった。

吉川 僕は二人とも編集を担当したことがあるが、「短くしてください」ということはあっても、リライトすることはなかった。それはやってはいけないと思っていた。プロのライターならいいが、市民記者の場合は、書いた人の味が残っているほうがいい。校正・校閲を中心にして、事実が違うとか誤字があるとか以外は、なるべくやらないようにした。そういうことをやるから、編集に時間がかかるのだと思う。

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