オーマイニュースの社員には「気概」が足りなかった
小田光康・元市民記者トレーニングセンター長
司会 次は(市民参加型メディア「PJニュース」編集長の)小田さんに聞きたい。小田さんはオーマイニュースの「市民記者トレーニングセンター長」をしていたが、結局これはどうなったのか。それから、いま「PJニュース」の編集長をしている目から、オーマイニュースという市民メディアはどういうものだったかコメントしてほしい。
小田光康(PJニュース編集長) 「市民記者トレーニングセンター」というのを作ろうということで、オさんと僕が話をしたが、話が決まってから2、3ヶ月で一方的に立ち消えになった。理由はよくわからないが、資金的なものだと聞いた。
オーマイニュースがなぜこうなったのか。論点は3つある。1つは、オーマイニュースの目的。オーマイニュースは、市民から吸い上げた記事をどんどん公開していくことを目的にしていたのか。あるいは、市民記者のなかで、記事以外の「議論」を活発にしようとしていたのか。僕は後者が重要だと考えているが、そのへんのところがそもそも間違っていたのではないか。
2つ目は、収支のバランス。市民メディアといえども資本主義のなかにいる以上、採算があわないといけない。永遠に資金が供給されるということはないし、そういうことはソフトバンクという会社をみればわかるが、そういう認識が甘かった。編集部に10人も20人もいて、オフィスをかまえて設備をもっていたら、それなりの出費がかかるのはわかる。それに対して、いくらの広告があるかもわかる。ちょっと紙に書いて計算すればわかるのに、お金のことはわからないというのはどうかと思う。
3つ目は、これは一番重要だが、社員の人達の「信念」というか、「どんなに叩かれてもがんばっていくぞ」とか、「このメディアを継続してくんだ」という気構えが足りなかったのではないか。ある種のベンチャー企業を継続して拡大していく気概があまりなく、雇われてやっている雰囲気が非常に強かったのではないか。僕なんかはPJニュースを一人で立ち上げて今でもやっているが、そういう気構えが違うのではないかと思っている。