「自分の意見がないヤツは生き残っていけない」
三菱商事に入って6年。将来について悩んでいるブライアンに声をかけたのが、後にセレゴの社長となるエリック・ヤング(43)だった。当時、エリックは投資銀行のバンカーズ・トラストの東京支店でトレーダーをしていた。
共通の知人を介して六本木のハンバーガーショップで出会った二人は、いずれも大学で化学を専攻していたということで意気投合。エリックが「バンカーズ・トラストに来れば、もっと自由に大きな仕事ができるぞ」と、ブライアンを誘ったのだ。
エリックの誘いにのって外資系の金融機関に転じたブライアンは、「バンカーズ・トラストは自分にぴったりの会社だった」と語る。若い社員でも能力さえ認められれば、どんどん仕事をまかせてもらえた。社内のカルチャーも日本の伝統的企業とは異なり、社長と若手社員が自由に議論できる空気があった。
ブライアンは金融界で7年ほど働いたのち、エリックがセレゴを興すと、創業メンバーとして加わった。年功序列ではなく実力本位で評価され、自由に意見が言えるバンカーズ・トラストの社風は、いまのセレゴにも受け継がれている。
「能力がある若手がいればどんどん責任を与えて、『自分でやりなさい、自分で決めなさい』と指示するようにしている。それから『自分が何を考えているかはっきり言いなさい』と伝えている。だから、意見のないヤツはここでは生き残っていけない」