「就活に答えなんてない」 ジャーナリスト石渡嶺司さんに聞く

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「ネットにすべての情報が載っているわけではない」

「大学進学・就活 進路図鑑2010」表紙
「大学進学・就活 進路図鑑2010」表紙
石渡   そうですね。情報選びについては「書籍・雑誌・新聞よりはネットで十分」と考えている方が、学生の主流を占めていると思います。もちろん全否定はしませんが、ネットに全部情報が載っているかといえば、決してそんなことはない。書籍をはじめとする活字メディアは、最先端ではないにせよ「時代遅れで不必要なメディア」にまで落ちているわけではない、ということをもっと訴えかけたいなと思いました。

――『就活のバカヤロー』を出されてから、学生の進路相談を受ける機会も増えたと思うんですが、傾向というか、こういう質問が多いというのはありますか。

石渡   講演時の質疑応答や学生からのメールで、「本に書いてある内容はよくわかった。でも、こちらとしては答えが欲しいんだ」と言われることは多いです。

   そういうときは、『就活のバカヤロー』は人間ドッグみたいなものなんだと答えています。つまり、学生が人間ドッグに来た患者だったとすると、当然人間ドッグだからあれこれ調べますよね。その結果、どうも悪い部分があるという場合、人間ドッグはそれをレポートにまとめて患者に渡しても、治療はしません。それ以上のことを求められても困りますし、今の時点で治療する技術がないのにあるかのように言うのはおかしいでしょ、と。これでだいたい半分は納得してくれます。

   で、「治療する医者って誰?」という話になるんですけど、答えとしてはそれも学生自身なんです。やっぱり最終的には、本人がどうするか決めるべきだし、適性や希望によって就活は変わっていくものですから。こう話して、まぁなんとか納得してもらっている感じです。

――石渡さんからすれば、学生が安易に「答え」を求めてしまうと感じることも多いのではないですか?

石渡   うーん、ただ時代も時代なので、焦りを感じてしまうというのもわからないではないです。ですから、そこまで学生がバカだとか、資質がないとまでは思いません。それはそういった状況を作り出している大人や、年齢の高い人間の責任でもありますから。

   インタビュー内でも強調されていた業界裏話や書籍案内は、学生のみならず、同業種・異業種で働く社会人にとっても興味深い内容に仕上がっている。書店などで見かけたら、ぜひ手にとって、その内容の濃さに圧倒されていただきたい。

4334934595進路図鑑2010
石渡嶺司
光文社 2009-03-24

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