MBAなんて要らない?ハーバードが教えてくれなかった「3つのこと」

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2.顧客を実際に購買行動に動かすためには、ロジックと同じくらい、共感・共鳴が必要

   インターネット専業の保険会社であるライフネット生命にとっては、ウェブサイトが唯一の店舗であり、かつ従来の営業職員の機能を果たすチャネルとなります。

   そこで、生保商品を選ぶ上で必要となるコンテンツやシミュレーション機能などを、余すことなくライフネット生命のホームページ上に実装しました。これと「大手生保の保険料を半額に」という経営理念のもとで創られた商品さえあれば、契約者は殺到するのではないかとも期待していました。

   しかし、実際に営業を開始してみると、お客様の足取りはなかなか重いものでした。また、大半はデータやシミュレーションよりも、「ランキング」や「プロが選ぶ1位!」といった感性的な要素を参照して行動していました。

   そこで学んだことは、MBAマーケティングで学ぶ「提供価値」といったロジックと同じくらい、「言葉では説明できないけどなんかいい」という感性――それは「安心」だとか「共感・共鳴」という気持ちだったりするのですが――それらに訴えるものがなければ、実際にアクションを誘発して商品を買ってもらえないということです。

   もちろん、感性だけに訴えかけたマーケティングでは長続きはしません。しかし、移ろいやすい生身の人間を消費行動に移すためには、左脳やロジックだけではなく、それと同じくらいに右脳や感性を揺さぶる施策を打っていかなければならないということを、痛感させられたわけです。

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険・代表取締役副社長。1976年生まれ。幼少期をイギリスで過ごしたのち、開成高校を経て、東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ホールディングスを経て、ハーバード経営大学院(HBS)に留学。日本人で4人目となる上位5%の優秀な成績(ベイカー・スカラー)を修めた。帰国後、元日本生命の出口治明氏と二人三脚で、今までの常識を打ち破る新しい生保会社「ライフネット生命保険」を立ち上げ、2008年5月に営業を開始した。近著に『東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法 』(大和書房)、『超凡思考』(幻冬舎、伊藤真氏との共著)。
「生活者にとって便利でわかりやすく、高品質な生命保険サービスを提供する」という理念のもと、インターネットを主要チャネルとして、新しい生命保険を販売している。既存の保険会社に頼らない「独立系の生命保険会社」として戦後初めて免許を取得し、2008年5月に営業を開始。業界のタブーとされた「保険料の原価」を開示するなど新しい試みに挑戦している。
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