2.顧客を実際に購買行動に動かすためには、ロジックと同じくらい、共感・共鳴が必要
インターネット専業の保険会社であるライフネット生命にとっては、ウェブサイトが唯一の店舗であり、かつ従来の営業職員の機能を果たすチャネルとなります。
そこで、生保商品を選ぶ上で必要となるコンテンツやシミュレーション機能などを、余すことなくライフネット生命のホームページ上に実装しました。これと「大手生保の保険料を半額に」という経営理念のもとで創られた商品さえあれば、契約者は殺到するのではないかとも期待していました。
しかし、実際に営業を開始してみると、お客様の足取りはなかなか重いものでした。また、大半はデータやシミュレーションよりも、「ランキング」や「プロが選ぶ1位!」といった感性的な要素を参照して行動していました。
そこで学んだことは、MBAマーケティングで学ぶ「提供価値」といったロジックと同じくらい、「言葉では説明できないけどなんかいい」という感性――それは「安心」だとか「共感・共鳴」という気持ちだったりするのですが――それらに訴えるものがなければ、実際にアクションを誘発して商品を買ってもらえないということです。
もちろん、感性だけに訴えかけたマーケティングでは長続きはしません。しかし、移ろいやすい生身の人間を消費行動に移すためには、左脳やロジックだけではなく、それと同じくらいに右脳や感性を揺さぶる施策を打っていかなければならないということを、痛感させられたわけです。