大切なのは「どこで働くか」よりも「何のために働くか」
冒頭の事例が語っているように、全体として見て経済が下がっていても、売上や利益を伸ばしている企業、成長する新しい分野も確実に存在するわけであって、そういった企業、組織の成長と自分の成長をともに感じることができる職場を探し当てる努力が求められるのではないでしょうか。
それは決して容易ではありませんが、ヒントとしては「競争が少ないところに行く」、すなわち「人と違うことをやる」ことが大切になってきます。一般的に、大きな企業には成長の余地は小さいですが、小さな会社は出発点が低いため、いくらでも成長の余地があります。
海外に留学して働いてみたものの、一番感じたのは、「どこで働くか」よりも「誰と働くか」とか、「何のために働くか」という方がずっと大事だということです。当たり前ですが、外国で働いている人が皆ハッピーなわけでは決してないですし、それぞれが悩みを持ってやっています。自分のホームグラウンドで確実に成果を出せない人が海外に行ったから幸せになれるわけではなく、「とりあえず外国に出よう」というのは安易な現実逃避に過ぎず、何ら示唆に富んだメッセージではない、というのが僕の感想です。
そして、日本はとても住みやすく、食事は美味しいし気候もいい、人々は礼儀正しい、素晴らしい国ですよ。僕の周りにいる友人の多くは、海外に出てみてはじめて「日本のよさが分かった」と話しています。
ちなみに、イチローや松井のように、海外で「裸」で勝負できている日本人がどれだけいるのか?疑問です。親の七光りならぬ、日本の力を借りずに裸で勝負できている人は残念ながら、ほとんどいません。私が知る「海外で働く日本人」の大半は、「海外企業の日本向けビジネスを担当する」「日本企業の現地法人で働く」という感じで、日本の威光を借りて働いているに過ぎません。
岩瀬 大輔