臨床心理士・尾崎健一の視点
産業医に職場を定期的に見てもらう工夫も必要
医師には外科や内科、精神科など、すべての診療科目を診る資格がありますが、現実には、専門以外の科目を診断するのが難しい場合があります。したがって個々の病状に対して、産業医から細かいアドバイスを受けるのが困難なこともあるでしょう。野崎さんとは違う視点ですが、セカンドオピニオンは産業医だけに任せず、従業員支援を請け負う民間企業(EAP会社など)や他の病院が提供するセカンドオピニオンサービスを利用することも考えられます。
法律では、産業医の基本業務には「職場の定期巡視」「定期健康診断結果チェックとその後の面談などによるアドバイス」「過重労働者の面談」などが規定されています。まずは、産業医の役割について十分に認識している医師(基本的には産業医の認定資格を持っていることが前提)に就任してもらうことが重要です。そして、休職者の数など社内調査の情報を産業医に提供し、実際に職場を定期的に見てもらったり、健康に不安を訴える従業員の面談をしてもらったりした上で、「労働者の健康管理面」でどのような課題があるのか、アドバイスをもらえるように働きかけていく工夫も必要です。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。