まともに働かない「産業医」 社員の健康が守れるか?

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
産業医の役割を認識した医師に切り替えるべき

   従業員を常時50人以上雇用している事業所は、「産業医」を置いて労働者の健康管理等を行わせなければなりません。しかし実質的な活動がなく、ほとんど名義貸しのようになっている場合も少なからずあるようです。社員の健康を守るためにも、これからは産業医の役割についてきちんと認識をもった医師にお願いすべきです。社長には「先生には長年やっていただきましたし、最近はコンプライアンスが厳しくなっているので……」と納得してもらいましょう。

   理想的なのは、専門以外のケースでも主治医と連携を取って対応を考えてくれる医師です。たとえばメンタルヘルス問題の場合は、見るからに「復職は難しいだろう」と思われる従業員が、主治医に無理を言って「復職可能」という診断書を書いてもらうことがあります。休職期間満了で解雇目前という微妙な場合などは、「自己責任」として診断書を尊重することも考えられますが、それがきっかけで社会復帰を困難にする場合もあります。そんな悲しい例を見ている私としては、産業医が面談して「復職は困難」というセカンドオピニオンを出し、会社が復職を拒否することもありうるのではないかと思います。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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