ディズニー用の学習ソフトは好評だったが……
雑然といろいろな物が置かれているデスクの周り。二つのモニターを見比べながら仕事する
セレゴが開発した独自の記憶管理システムを実用化するため、さまざまな企業との提携話が浮かんでは消えていった。なかでも一番力を入れたのが、ウォルト・ディズニーとの交渉だ。アンドリューの友人がディズニーにいたのがきっかけだった。
「我々にはブランドがなかったので、ブランドがしっかりある会社と組めればいいだろうと思って、ディズニーとの関係が始まった。ディズニーのコンテンツを楽しみながら英語の学習ができるように、いろんな要望を聞きながら、ディズニー用の学習ソフトを開発していったんだ」
さまざまな試行錯誤を経て作られた学習ソフトはディズニー社内でも評判が良く、商品化の一歩手前までいったという。しかし、セレゴの技術力と商品開発力をライバルに利用されたくないと考えたディズニーは、セレゴを買収したがった。
セレゴが「NO」と答えると、今度は独占契約を結びたがったが、それに対してもアンドリューたちは「NO」と言った。あくまでも独立した立場で新たなビジネスチャンスを追求していくという創業以来のスタンスを貫いたのだ。アンドリューは語気を強めて語る。
「我々はほかの会社に吸収されることは望んでいない。ディズニーがコンテンツを提供して、我々がそのためのプラットフォームを作るというスタイルを守りたかった。ディズニーは我々を買収して、うちの財産を独占したがったけど、それはありえないこと。でも、ディズニーには友達がたくさんいるので、いつかまた一緒にできたらいいなと思っているけどね」