臨床心理士・尾崎健一の視点
「カウンセラーとの面談を検討してみる」
この社員は、単に人間関係を築くのが難しい人なのかもしれませんし、すでに何らかのメンタル系の病気にかかっているかもしれません。しかし、いきなり本人に「病院に行ってみたら」と言っても、反感を買うだけです。そんな場合には、仕事に直接関係する具体的な問題点を指摘して、解決を図る手段の中に、専門家との面談などを組み込んでおくことが考えられます。
まずは「納期が守れていない」「顧客からクレームが来ている」などの問題点を指摘し、改善目標を設定します。そして、目標が達成できない場合の方策として「他のメンバーの協力を仰ぐ」「事前に資料を上司に確認してもらう」などとともに、「顧客やチームメンバーとの関係改善のためにカウンセラーに相談する」という項目を入れておくのです。
このプロセスで大切なのは、本人の言い分を理解しようと努力することです。人間は誰しも、自分を理解しようとしない人の言うことは、耳に入れません。どんなに理不尽で社会性がないように思えても、本人にとっては正当な言い分なのです。