突然キレる「不気味な問題社員」どう扱えばいいか

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   人事担当者は、各部署から「もう手に負えない」という問題社員への対応を依頼されることがあります。しかし、明らかな不正や犯罪行為をしたわけではない場合は、対応方法に頭を悩ませることがあります。「こんなときは、どう対応したらいいのでしょうか」という相談が来ました。

逆恨みを怖れて「腫れ物」にふれるような扱い

――金融会社の人事部門に勤めています。いま、行内でSEをしている30代前半の男性社員の処遇に頭を悩ませています。彼は入社当初は真面目で、仕事もできたのですが、入社5年目あたりから、パソコンに向かってブツブツひとりごとを言ったり、いきなり立ち上がって周囲の人に言いがかりをつけるなど、不気味な言動をするようになりました。
   日ごろから上司は、やんわりとたしなめていたようですが、にらみ付けたりニヤニヤしたりして、まったく聞き入れようとしません。そのうち「注意して逆恨みされてはたまらない」と誰も注意もしなくなり、腫れ物に触れるような扱いが続いていたようです。
   この男性社員は社外の取引先と接する機会もあるのですが、これまで何度かクレームを受けています。

   「人を見下したようなあの態度はなんだ。あんなヤツのいる会社とは取引しないぞ」

と激怒した取引先に、部門長が謝罪に出向き、なんとか事態を収めたこともありました。
   その際、部門長と直属の上司が、彼を呼んで注意しましたが、

   「私はきちんと仕事していますよ。説明しても理解できないあの人が悪いんです。あれで部長なんて信じられませんね。会社のレベルの低さがよく分かりますよ」

と、あくまで自分は悪くないと言い張っています。
   部門長もホトホト手を焼いており、「もう手に負えないから、人事で引き取ってくれ」と言われています。このような問題社員には、人事としてどう対処すればいいのでしょうか。このままでは、一緒に働くメンバーもおかしくなってしまいます――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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