2008年に日本一になった西武・渡辺久信監督の著書『寛容力~怒らないから選手は伸びる』や、早稲田ラグビー部を常勝軍団に変えた清宮克幸・前監督の『究極の勝利~最強の組織とリーダーシップ論』など、スポーツの成功者のマネジメント論はビジネスの現場でも参考になる。
海の向こうの米国では、ハーバード大学ケネディ行政大学院で教鞭をとるナンシー・カッツ准教授が、成功しているスポーツチームの「勝利の法則」を体系的に分析して論文にまとめている。『職場のモデルとしてのスポーツチーム(Sports teams as a model for workplace teams: Lessons and liabilities)』だ。この論文が示す「7つの教訓」は日本の会社でも使えそうなので、要点をかいつまんで紹介しよう。
教訓1:協力と競争をうまく組み合わせよ(Integrate cooperation and conpetition)
スポーツの「教訓」は仕事にも生かすことができる
成功するチームは「協力」と「競争」をうまく組み合わせて、チーム全体のモチベーションをうまく高めている。ポイントは「競争」を制限つきのものにすること。メンバーを競わせる場を「練習のときだけ」などと限定して、本番の試合のときは競争を必要最小限におさえることだ。
プロダクトデザインを手がける米国の会社IDEOでも、制限つきの「競争」を取り入れて成功している。メンバー同士の競争は、一定の時間(たとえばブレインストーミングの間)や目標(たとえばアイデアの創出)、前提ルール(たとえば他者を非難しない)といった条件のもとで奨励されている。