臨床心理士・尾崎健一の視点
誠心誠意対応すれば思いは伝わる
閉鎖する工場の人員整理など、誰だってやりたくないですよね。でも、誰かがやらなければ、会社全体の経営が危うくなってしまいます。退職を勧奨するという一見後ろ向きの仕事の裏には、その何倍もの雇用を守り、会社を存続させて、会社と従業員の価値を社会に還元するという前向きの務めがあることを忘れてはなりません。「誠心誠意対応していることは伝わるものだ」と信じて、精一杯役割を全うしましょう。
退職勧奨または解雇の対象となる方の中には、精神的に追い詰められる人も出てくるかもしれません。「相談窓口」を設置したり、メンタルヘルスケアの相談を受け付ける専門業者と提携することも考えられます。また、これは当事者すべてに言えることですが、ものごとの前向きな側面を見ようとすることは、人間が生きていく上で必要なことです。それぞれの立場でモチベーションや精神衛生を保つために「今回の一件で新たな可能性が見えたし、窮地に立たされたときの対応能力がついた」と考えることも大切です。