「若い年齢でもインパクトのある仕事ができる」
「うちの連中はみんな勝ちたいと思っている。週末も必ず誰かが出社している」と熱く語る
「セレゴは今まで20億円の資金を投資家から調達しているが、そのうちの9割以上が個人からのもの。1口1000万円以上で、120人近い人に出資してもらっている。個人だからベンチャーキャピタルと違ってドライではない。短期的なマネーメイクを要求しないで、『今はプラットフォームをしっかり作りなさい』と応援してくれる」
芸術家タイプでやんちゃな雰囲気のあるアンドリューに比べると、エリックは知的で落ち着いた印象が強い。しかし、エリートサラリーマンからベンチャー経営の世界へ身を転じただけあって、内には大志を秘めている。
「現在のsmart.fmの会員は45万人強だけれど、10倍の数百万人が当面の目標。また、今は日本人の会員が全体の9割以上を占めているが、我々のターゲットはジャパンじゃなくてザ・ワールド。最初から世界中で成功したいと思っている」
創業から9年。これまで、ITバブルの崩壊でいったん進出したシリコンバレーから撤退するなど、さまざまな失敗も経験してきたが、成功への情熱は失われていない。
「9年間ずっと『我々は大きくなるぞ』と熱心な思いを持ち続けているのは、すごいなあと思う。会社の設立者として、成功を切望する気持ちは不可欠なものだろうから」
と、バンカーズ・トラスト時代からエリックと一緒に仕事をしているCOO(最高執行責任者)のブライアン・ツァイ(44)は語る。
世界に通用する組織づくり。そのために、優秀な人材をいかに集め、力を発揮させるかに注力する。技術中心の会社だけに、採用はエンジニアがメインとなる。「まず、頭がいいことが基本」とエリックは言うが、それだけでなく、自分の意見をしっかり口にできることも大事な要素だという。
「セレゴは、日本の会社とは全然違うと思う。年功序列ではなく、新入社員でも優秀であれば権限を与えて仕事をまかせていく。長く勤めている人のアイデアが勝つのではなく、ベストなアイデアが勝てるような環境を作るのが私の仕事。若い年齢でもインパクトのある仕事ができるようにね」