社会保険労務士・野崎大輔の視点
「就業規則に休職ルールを入れておく」
病気の苦しみは本人にしかわからないといいますが、特にメンタルヘルス系の病気は健康との明確な線引きが難しく、そのことを悪用する輩がいないとも限りません。先日も組織的な「うつ病詐欺」が摘発されましたが、経営的な観点でリスク管理をしておくことも必要です。
万一に備え、就業規則に「休職」に関する取り決めを設けることが大切です。「遅刻や早退が続くようなら、休職を命じて治療に専念させること」「休職が一定期間続けば、自己都合の退職とすること」「同じ病気で断続的に休職・復職を繰り返した場合には、休職期間を通算すること」などのルールを設けておかないと、いつまでも休職を続ける例を増やしかねません。
一方で、「ハワイに行けるなら会社にも来られるよね」と無理に復職させて症状が悪化すれば、会社の法的責任を問われることにもなりかねません。担当者さんの悩みには同情しますが、疲れで冷静さを失わないよう、ご自分の健康管理にも十分注意してください。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。