「他人の真似は絶対にしない!」と言いながら結果を出してしまうのは、非凡な人の話です。凡人は、上手に他人の真似をすることで、物事の基礎を学び、その上で自分のスタイルを築いていきましょう。
魔裟斗の不屈の精神にあこがれて髪型を真似てみる
凡人は、最初から優れた結果を出すことができません。正確に言うと優れた結果を出すための行動が取れない、そういう行動がどんなものなのかが分からない、ということです。そういうときは、優れた結果を出している人を観察して、その行動を真似るところから始めてみましょう。
私は、キックボクサーの魔裟斗のファンです。彼がいいのはストイックなところです。会見では「勝つのはオレだ」と相手を挑発しますが、その裏でハードな練習を欠かしません。試合中も常に前に出て、フラフラになっても勝負を諦めません。私も辛い時には彼の姿を思い出して「これはハードなトレーニングだ。勝つのはオレだ」と言い聞かせて乗り越えてきました。
「まなぶ」とは「まねる」ところから始まります。できるヤツの良い点を積極的に真似るうちに、あなたもできるヤツに学び、近づいていることでしょう。まずは理想と思える人を選んでみて下さい。真似の仕方は、まずは髪型やファッションなど形から入ってもいいと思います。
その人が有名人なら、テレビや雑誌などで行動や発言などの情報を集め、その裏にある思考や考え方を想像しながらインプットしていきます。「この局面で、あの人ならどう考え行動するだろうか」と意識するようになると、自分の思考や行動も変わってきます。
「守破離」はビジネスパーソンにも使える
武芸を習う上で「守破離」という言葉がありますが、これも「できるヤツの真似」に通じます。「守」は、師匠の教えや型を見習って吸収する段階です。「破」は、師匠の教えや型を破ったりして、自分なりの方法の発展を試みる段階です。「離」は、師匠の下を離れ、自分で学んだ内容を発展させていく段階です。
単なるモノマネに終わらないためには「破」や「離」の段階が必要です。ただ、凡人としては「守」に相当程度注力しておくべきだろうと思います。これは、一流の人の書いた本を読むときでも言えることです。凡人が売りにすべきは素直さです。未熟なうちから、自分の好き嫌いの判断をすべきではありません。
まずは相手の言い分に素直に耳を傾け、自分のこだわりの限界を破ることから始めましょう。そして、その理解を足場に自分の考え方をまとめます。ニュートンは「私が遠くを見ることができたのは、巨人達の肩に乗っていたから」と言ったそうですが、かの万有引力の法則も彼だけの独創ではないということです。
「身近に見本になる人がいないから、自分も成長できないんだ」と嘆く人がいます。確かにそういう不運もあるかと思いますが、別にお手本は社内だけに求めなくてもいいわけです。できない原因を他に求めても、問題は解決しません。大切なのは自分の考えの持ち方です。社外でも広く通用する「できるヤツ」を目指すためにも、アンテナを高くして自分なりの理想像を見つけてください。
・・・…さて、今回で『「できるヤツ」と思わせる20のコツ』は、予定の20回目を終えました。ご愛読ありがとうございました。いま、連載前には思いつかなかった<できコツ>が、新しく頭に浮かんでいるところです。なので来週以降も、不定期ですが連載を続けさせていただきたいと思います。タイトルは「20のコツ」のままですが、引き続きよろしくお願いいたします。
野崎大輔