雇用政策で「実績」がある政党はどこか?

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   昨年末以来、不況の深刻化にともない、派遣切り、内定取り消しなどの雇用問題がクローズアップされる機会が増えた。こうなると当然、各政党も競うように雇用対策を打ち出してくるが、どれもいまひとつぱっとしない。

   たとえば与党は「非正規雇用労働者を正社員登用すれば金一封100万円支給」と派手にぶち上げたものの、ほとんど効果はないと思われる。以前も述べたとおり、正社員雇用というのは数億のコストがかかる投資である。100万円程度貰ったところで、普通の企業にとっては焼け石に水だ。

   一部の中小企業は喜んで申請するだろうが、逆に言えばそういう企業の正社員は"その程度の処遇"ということであり、元から正規・非正規問わずに採用しているケースがほとんどだろう。

「正社員雇用の義務付け」を打ち出す共産党でなく

   もっと意味がわからないのが、民主党の「合理的な理由のない内定取り消しは無効」という規制法案だ。そもそも合理的な理由のない内定取り消しなんてありえるのか。ありえるとすれば、「名前の字画が気に入らないから内定取り消し」みたいなケースか。聞いたことないんですけどそんな話。

   「製造業への派遣禁止と正社員雇用の義務付け」を主張する共産党も凄い。企業に生産調整するなというのは事実上の計画経済であり、時代錯誤もいいところだ。「トヨタ完全国有化」みたいな野望があるか、バカだから何も考えていないかのどちらかだろう。

   ではここ日本において、実効性のある政策を出せる政党はいないのだろうか? 実は、一つだけあるのだ。それもただ提言するだけでなく、自ら実践して見せてくれた偉大な政党が。そう、社民党である。

   03年の選挙でボロ負けした後、社民党はなんと党職員の4割をリストラしている。リストラといっても、大企業がやるような配置転換や転籍というような生っちょろいものではない。早期退職の募集を繰り返し、最後は指名解雇、文字通りの首切りだ。必死にしがみつこうとする50代職員ばかりを選んでクビをぶった切ったというから、奥田さんもびっくりの荒業である。

「働かざるもの食うべからず」を忠実に実行した社民党

   いやあ、実に素晴らしい。まさにレーニンの言う「働かざるもの食うべからず」の精神、これこそ左翼の真髄だ。日本中の企業が同じことをやっていれば、就職氷河期も生まれなかったし、非正規雇用も派遣も拡大しなかったろうに(賃下げやクビ切り可能なら、企業はわざわざ派遣なんて雇わない)。企業はどんどん新陳代謝を行い、国全体の成長率も高まり、労働者が手にするパイの量自体もずっと増えていただろう。

   では、なぜ社民党はこんな素晴らしい手柄をアピールしないのだろうか? ああ、きっと党首がおしとやかで控えめな性格なのだろう。ならば不肖ながら、僕が代わって「社民党がいかに素晴らしい政党であるか」をピーアールさせていただこう。

   ということで、全国津々浦々のセミナーで「福島みずほ推薦!中高年にはリストラを、若者には職を!」と言っているのだが、会場はあたたまってもなかなか政策自体は広まらない。なにより社民党自体、いつまでたっても鼻クソみたいな支持率しかない。

   この分だと次の選挙あたりで消滅しそうだから、「リストラの社民党です!」と積極的にアピールしてみてはいかがだろうか?そうしたら、僕も一票めぐんであげますよ。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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