多様な人脈つくれる「社員寮」を見直そう

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「同じ釜の飯を食った仲間」との関係は長持ちする

   わが独身寮は個室だったが、2つの個室に入り口がひとつという作りで、相部屋のようなルームメイトが存在した。私は同期社員のK・I氏と同室だった。当時彼は人事部で、現在でも会社に在籍して人材採用・開発支援の分野で活躍中だ。

   隣室には、姥谷芳昭氏とT・I氏というコンビがおり、総務部だった姥谷氏とは、のちに『伝わる化』(PHP研究所)という本を一緒に書いた。T・I氏は、独立して売り上げ50億円を超える広告会社を経営している。

   彼らとは仕事も生活時間も違っていたが、同じ釜の飯を食った仲間であるためか、20数年たっても「俺、お前」の関係でいられる貴重な存在だ。もし独身寮がなければ、こういう関係もなかっただろうと思うと、会社への感謝も気持ちがわいてくる。

   また、これだけ景気が悪くなると、会社の福利厚生に対する学生の目も変わってくる。「独身寮がある」というのは、優秀な求職者を集めるインセンティブにもなるだろう。

   ただ、社員寮で社員が固まってしまってもよくない。入社3年目くらいまでは社員寮に入ってもらい、同期や先輩・後輩のよい関係を作ってから住宅手当に切り替える。こういう施策は、職場の活性化につながるのではないかと思う。

大塚 寿

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大塚寿(おおつか・ひさし)
1962年群馬県生まれ。中央大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。ヤマメの養殖で留学資金をつくり、1991年5月より渡米、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)にてMBA(国際経営学修士号)を取得。現在、マーケティング・コンサルティングやオーダーメイド企業研修を行うエマメイコーポレーション代表取締役。『職場活性化の「すごい!」手法』(PHPビジネス新書)など、著書多数。
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