若手社員は完全な自信喪失状態
しかも社員が大きなミスをしたから叱っているというわけではない。自分の都合、そのときの気分だけで、目の前にいる社員に食ってかかるのだ。言葉だけではない。男性社員の中には強烈な蹴りを入れられた者もいるのだと、別の社員から教えてもらった。
「私もこれまでいろんな上司の下で働いてきましたが、あそこまでひどいのは初めてでした。世の中にはこんな会社があるんだと心底びっくりしましたね」
社長はそんな調子で毎日怒声を張り上げていた。おかげで若手の社員たちは萎縮してしまう。特に気の毒だったのは、新卒で入社したばかりの1年生社員だ。ただ怒鳴られるだけで、仕事で何をすべきかをきちんと教えてもらっていないため、自分の頭で判断する力がまったく育たない。
「完全な自信喪失状態に陥っていて、簡単な仕事を振ろうとしてもすぐに『私、できませんから……』と自己否定しちゃう。新人の子は小さな達成感を積み上げていくのが大事なのに、全然そうじゃないんですよ。そんな姿がとても不憫でしたね」