「見ました?WBC決勝戦」 仕事しないでワンセグ熱中

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   大いに盛り上がったワールドベースボールクラシック決勝戦。普段はあまり野球を見ないという人も、今回ばかりは見入ってしまったようです。

   もちろん、平日で仕事がある人も見ていました。そう、ワンセグです。

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クライアントと一緒にガッツポーズ

   ある大手メーカーの営業マンAさんは、クライアントと一緒に観戦したそうです。

「当日、13時のアポイントがあって先方に出向きました。ほどなく用件が終わり、何気なくWBCの話になったんです。ワンセグでも見れるって話になって、つけてみたらやってて、しかもちょうど9回の攻防(笑)」

音声を絞りに絞り、小声で話しながら見ていたら同点。こうなると、もう止められません。

「10回はさすがに熱くなりましたよ。イチローのヒットで声を出さずに互いにガッツポーズ、試合に勝って声を出さずに口だけで『やった、やった』ってしながら握手(笑)。おかげでクライアントとの親密度が増したような気がします(笑)」

   関西のビジネス街では、こんな話も。

「テレビのある定食屋へ早めに出かけたら、すでに大行列。いつも混んだことないのに(笑)。しかも、つくるのも運ぶのも食べるのも、WBC見ながらやから遅い遅い(笑)」

しかたなく、手早く食べられる店に向かうと、全員がケータイ片手にワンセグを見ながら食べていたとか。

帰りが遅い社員は道端でワンセグを見ていた

   某社中間管理職のBさんは、おつかいにいった社員の戻りが遅いことを口実に「郵便局へ行ってくる」と外出しました。ついでにワンセグでWBCをちょっとだけ見ようと考えたのです。

「会社の建物を出て、すぐにケータイのワンセグを合わせたよ。ちょっと見るだけのつもりが、ちょうど9回が始まったところ。マズいマズいと思いながらも、このタイミングでは切れないよ(笑)」

8回に日本、韓国ともに点を入れて1点差。このまま日本が逃げ切るか、韓国が追いつくか。サヨナラの可能性すらあるとなれば、9回の攻防が盛り上がらないはずがありません。

「郵便局の近くまで来て、ふと前を見ると、おつかいに行ったはずの女子社員が路傍でワンセグに見入ってる(笑)。この試合だもん、さすがに怒れませんって。ほかにも見てる人いっぱいいたし(笑)」

Bさんは彼女には声をかけず、脇道に入ってから会社に電話をかけました。

「お得意さんとバッタリ会ったから、戻りを30分後にしておいてって、ついついウソを。表裏各15分という計算だったんですけど、ヤラれました。韓国の同点で、いよいよ見逃せなくなっちゃった(笑)」

試合後、会社に戻っても幸いなことに急ぎの連絡等はなく、ホッとしたそうです。

「だって、結構みんな仕事中に見てたんじゃないの? 大げさにいえば、2009年3月24日の14時頃から、日本のビジネスは瞬間的に止まってたと思うよ(笑)」

   世知辛い時代、たまには良いじゃないですか。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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