「見ました?WBC決勝戦」 仕事しないでワンセグ熱中

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帰りが遅い社員は道端でワンセグを見ていた

   某社中間管理職のBさんは、おつかいにいった社員の戻りが遅いことを口実に「郵便局へ行ってくる」と外出しました。ついでにワンセグでWBCをちょっとだけ見ようと考えたのです。

「会社の建物を出て、すぐにケータイのワンセグを合わせたよ。ちょっと見るだけのつもりが、ちょうど9回が始まったところ。マズいマズいと思いながらも、このタイミングでは切れないよ(笑)」

8回に日本、韓国ともに点を入れて1点差。このまま日本が逃げ切るか、韓国が追いつくか。サヨナラの可能性すらあるとなれば、9回の攻防が盛り上がらないはずがありません。

「郵便局の近くまで来て、ふと前を見ると、おつかいに行ったはずの女子社員が路傍でワンセグに見入ってる(笑)。この試合だもん、さすがに怒れませんって。ほかにも見てる人いっぱいいたし(笑)」

Bさんは彼女には声をかけず、脇道に入ってから会社に電話をかけました。

「お得意さんとバッタリ会ったから、戻りを30分後にしておいてって、ついついウソを。表裏各15分という計算だったんですけど、ヤラれました。韓国の同点で、いよいよ見逃せなくなっちゃった(笑)」

試合後、会社に戻っても幸いなことに急ぎの連絡等はなく、ホッとしたそうです。

「だって、結構みんな仕事中に見てたんじゃないの? 大げさにいえば、2009年3月24日の14時頃から、日本のビジネスは瞬間的に止まってたと思うよ(笑)」

   世知辛い時代、たまには良いじゃないですか。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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