新人や若手社員は、部内の電話を取ることが仕事のひとつです。電話は、社内のみならず社外からも掛かってきて、時にはクレームの場合もあります。目の前の仕事が邪魔されたりして億劫になる気持ちも分かりますが、スキルアップにもなるので、電話が鳴ったら積極的に取りに行くことで間違いありません。
クレーム対応の鉄則は「相手の言い分を聞くこと」
「携帯電話が普及してから、若い人たちの電話対応が悪くなった」という説を聞いたことがあります。携帯電話には自分の知り合いからしか掛かってこないので、知らない相手に気を使って対応することが少なくなってきたというものです。
この説が正しいかどうか分かりませんが、電話マナーの悪さを感じている人の話はよく耳にします。簡単だが他の人ができていないことは、凡人にとってチャンスです。電話マナーを向上させて「できるヤツ」と思われるようにしましょう。
私は前職の入社当初、電話対応がひどく、他部署の管理職から注意を受けたことがあるくらいです。それでも経験を重ねることで、今では少しはマシになりました。役に立ったのは、会社の代表番号に掛かってくる「クレーム」への応対でした。最初は「何で俺が謝らなきゃならないんだ」と思っていましたが、相手の感情を吐き出させることに専念すると、相手がケンカ腰の対応を止めることが分かりました。
クレーム対応の出発点は、その内容を担当部署に伝えることも含め、「相手の言い分を正確に聞き取ること」です。このヒアリング力は、上司から仕事の指示を受けたときや、他部署から伝言を頼まれたときにも応用できます。
先輩や上司の電話対応には「お宝」が埋まっている
自分の手に負えないクレームは、先輩や上司に引き継いでもらいましょう。ただし、対応を脇で聞くことを忘れてはなりません。電話対応は経験値がモノを言うので、きっと勉強になります。そのときに耳にした言葉を手掛かりに、自分に関係ありそうなことを調べると、業務への興味や視野を広げることもできます。
また、上司の電話対応は、いま部内で何が起こっているのか、新しい仕事の種はどこにあるのか、見つける手掛かりにもなります。これも私の経験ですが、あるプロジェクトについて、部長が他部署の部長と話しているのを耳にしました。近くでその応対を聞いていた私は、電話を切るタイミングを見計らって「その仕事、ぜひやらせてください」とお願いしました。
誰が考えても面倒なことになりそうな仕事ではありましたが、関わってみれば予想通り良い経験となり、密かに自分にとっての金字塔となる仕事となりました。こういう経験は仕事に対する自信につながります。
他人の電話対応を聞くことを「立ち聞きだ」と言ってしまえば、確かに品が良くない行為に思えますが、そういうところにも「新しい仕事の種」や「現状打破のキッカケ」が転がっている例として、参考にしてもらえればと思います。
野崎大輔