「言いだしっぺ」が周囲を巻き込み職場全体を活気付けよう
この「トップセールス交換会」では、国内最大手の証券会社や、外資系のIT企業などのトップセールスが登場し、「なるほどっ!」と唸らされる営業の技を紹介してくれた。営業現場をロールプレイングで再現してくれるので、ライブ感があり、勘どころをつかむことができた。同じ法人営業で、同じ業界に対して営業をかけていたために、重なるノウハウが多かったことがよかったのだと思う。
こんな秀逸な他流試合は、誰が企画していたのだろうか。「研修」という位置づけではなかったので、人事部主催でないのは確かだ。上司や先輩たちが個人的なコネを活かして、非公式に依頼していたのではないかと推測する。
若手社員の勉強のために、このような会の開催に漕ぎつけた先輩や上司は、本当に素晴らしかったと思う。情報漏えいのリスクなどを盾に「問題がある」と言うだけなら、誰でもできる。特にいまの時代は、そんな社内評論家の存在は枚挙に暇がない。しかし、もろもろの問題をクリアしながら実行に漕ぎつけ、メリットを獲得することのできる人は、いまも昔も本当に貴重だ。
企画・実施にあたっては、会社に届け出ておくとしても、研修を補完する形として「現場」で完結させたい。この手の取り組みは、公式の研修となると大掛かりになり、形式的になってしまうおそれもあるからだ。公式、非公式の中間くらいの距離感で実施できれば、むしろベストだ。「言いだしっぺ」が音頭をとって、周囲を巻き込みながら進めることで、職場全体が活気づくという効果もあるだろう。
大塚 寿