「自分屋24」というインターネット発の「人間レンタルサービス」をご存じだろうか。自分のスケジュールをWeb上で事細かに公開し、空いている時間を切り売りするという新手のなんでも屋だ。このユニークなサービスを1人で始めた仕掛け人に話を聞いてみた。
風俗やマルチ商法以外なら「どんな仕事でも」
「自分屋24」は個人のスケジュールをネットに公開して「暇な時間」を買ってもらうサービスだ
生みの親は、Webサイト制作などを手がけるベンチャー企業「レベルQ」の社員、トミモトリエさん。J-CASTモノウォッチでも取り上げた「おごるTV」の企画者でもあり、過去にはアパレルの店長、Webデザイナーなどの職歴を持つ。
自分屋24では、トミモトさんが自分のスケジュールをウェブ上で公開。その予定を見た依頼者がフォームに必要事項を記入して申し込むと、実行可能かどうかトミモトさん自身から返事がかえってくる。
仕事の内容は基本的に選り好みせず、「どんなものでも受ける」姿勢だが、法律に反するものや風俗系、マルチ商法にかかわる仕事などはNGだそうだ。場所は新宿駅から片道3時間以内で移動できる所、レンタル時間は1日8時間以内という制約つき。レンタル料(日給)は依頼者に決めてもらう方式で、場合によっては物支給もOKだという。
受けた仕事の内容は後日、自分屋24のブログで紹介される。「企業PRやボランティア活動を支援し、新しい働き方を提案する『お仕事紹介メディア』として役立つことを目指している」とのことだ。
トミモトさんは2008年10月に以前勤めていた会社を退職。無職の期間中を使ってどう生き延びるか考えた結果、このサービスを思いついた。トミモトさんの個人プロジェクトとして立ち上げたが、サイト制作や法律的な面での対応などについて会社にサポートしてもらっている。
タイ料理屋&古着屋のスタッフ、家族団らんの相手も経験
パソコンにソフトをインストールする仕事を頼まれたこともある
08年12月にサービスをスタートして以来、今までに受けた仕事は約25件。そのうち、印象に残っている仕事などをトミモトさんに尋ねてみた。
――これは楽しかったというお仕事はありますか?
「実際にお店に立つ仕事が楽しかったですね。普段Web関係の仕事をしているとなかなかお客さんと接する機会がないので。タイ料理屋でのホールスタッフや高円寺の古着屋での1日店長などが特に記憶に残っています」
――実際いろいろな仕事をしてきて、危ない目にあったりしませんでしたか?
「今のところ問題があったというのはないですね。いい意味で予想外だった仕事はあります。ウェブサイトをリニューアルするというお仕事だったのですが、申し込み時は時給1000円というお話だったものの、実際お仕事が終わってから予想以上にサイトを気に入っていただけて、日給が3万円にアップしたり」
――報酬が物だったときはどんなものをもらいました?
「そうですねぇ……会社の設立記念イベントの撮影スタッフのお仕事(約4時間)をしたときは、会社のパーカーをもらいました。最近だと、お正月に家に帰ってこないお姉さんの代わりにカニ鍋を囲んで家族団らんするという仕事をしたこともあります。そのときの報酬はもちろんカニでした」
今後のサービス展開について尋ねたところ、しばらくはトミモトさんが単独でサービスを続行。将来的には登録ユーザーを募集し、会社からの正式サービスとしてリリースすることも考えているという。
一生続けられる仕事ではないかもしれないが、これだけの実行力、行動力があれば、どんな不況の世の中でも生き延びていけるにちがいない。