顔写真は「ペットの犬」や「子どもの頃」の写真でもよい
母校のデータベースの入力情報は、自己責任に任されている。メールアドレスや住所、電話番号、勤務先、写真など、ページのフォーマットはできているが、自分の判断で開示したいものだけを公開設定できるシステムになっている。
米国のビジネス系ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも、実名や顔写真とともに、勤務先や部署名、キャリアなどを共有し検索できるものがある。アメリカ人は他人の紹介がなくても、このようなデータベースを活用して目当ての担当者を探し当て、平気でアクセスしてくるのである。
このようなダイナミックなコミュニケーション効果を社内にもたらそうとするのが「社員図鑑」であり、用途に合った設計や運用が重要だ。個人情報保護を理由に二の足を踏む向きもあるかもしれないが、利用目的を明らかにして情報を収集するのだから、セキュリティをクリアすれば問題はない。
どうしても悪用などを回避したければ、顔写真の部分は自己申告とし、ペットや子どもの頃の写真にしてよいし、アバターにするなどのルールを設けてもよい。また、住所は個人情報保護法の対象となると思われるので、扱いは慎重にすべきだろう。
このあたりの話を米国の友人に話すと「日本人は履歴書には年齢や性別、顔写真まで要るのに、社員名簿に反対するなんて」と小バカにされる。私には、履歴書に顔写真を貼らず、学生図鑑に住所やメールアドレス、電話番号まで記載する米国の方がややこしい社会に見えるのだが。文化の違いだろう。
話を戻そう。一人ひとりの存在は、組織に埋もれがちだ。しかし組織を構成するのは、従業員一人ひとりである。このような意識を共有するためにも、セキュリティやプライバシーを確保しながら、個人を紹介する媒体は欲しいものだ。
大塚 寿