個人の持つ知識や情報を組織全体で共有して、組織を活性化させようという試みは、10数年前のナレッジマネジメントに始まり、オフサイトミーティング、イントラネット、社内SNS等々、さまざまな形で実施されている。しかし、期待したほどの成果がなかなか上がらない。そんなときは、肩の力を抜いた「飲ミュニケーション予算」を計上して、プロジェクトや仕掛けを補完してみてはどうだろうか。
「喫煙者の新人は成長が早い」のは俗説か
笑い話と信じたいが、「会社の中でもっともナレッジが集積している場所は喫煙室」という説がある。喫煙という共通の嗜好もあいまって、通常の業務フロアにはない、さまざまな階層や世代、部署の人間による非公式のコミュニケーションが活発になっているそうだ。
そこには仕事に役立つ情報やナレッジ(知恵)、ライフハック(仕事術)といったものが集積され、伝承される。となると「喫煙者の新人は、非喫煙者よりも成長が早い」というのも、俗説と一蹴できない現実味がある。
だからと言って、みんなでタバコを吸いましょうというのではない。その喫煙室の持つ不思議な機能だけを、煙なしに職場に持ち込む方法はないものかと考えた次第だ。
「タバコの次は酒かよぉ~」
「この不景気のどん底に、バブル時代に戻れというのか?」
「今の新人を誘ったところで、ついてくる奴なんていないね」
といった声も聞こえそうだが、酒の誕生とともに成立したであろう、この「飲ミュニケーション」の効用を、もっと積極的に会社運営に取り入れようではないか。
規模に関係なく、さまざまな業界、企業で「飲ミュニケーション予算」が採用され始め、成果を上げている。中には、飲み会を定期的に開いているかどうかを管理職の査定項目にして、この不況の最中にも好業績を上げているメーカーさえ実際にある。