放送作家を襲った悲劇「原稿のメールが届かない!」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

スパム防止フィルターにはねられた?

   すでにオンエア時間が迫っていたこともあり、さらなる次善策として、緊急用に取ってあった大手事業者の無料メールアカウント(.comドメイン)宛に空メールをもらい、それに返信することにしました。

   ところが、今度はTさんの方へ、いつまで経っても空メールが送られてきません。

   しかも、そんなやり取りをしている間にTさんのパソコンがフリーズ、保存していなかった原稿の一部が消えてしまいました。

「結局、その局へ移動し、担当ADの目の前で消えた部分を書き直し、プリントアウトしてなんとかなったんですが…。どうも、私のメールアカウントが、普段使用しているものも大手事業者の無料のものも、どちらも新しく導入されたスパム防止のフィルタリングに引っかかってしまい、ハネられていたみたいですね。受信できないのはともかく、送信できないってのにはびっくりしましたけど」

   Tさんが普段メインで使用しているアカウントは、地元のケーブルテレビ局のものだそうです。

「フィルタリングに引っかかりそうにない、大手プロバイダのアカウントを取ろうとは考えているんですけどね。ケーブルテレビのものはタダでもらったものだし、自宅の回線を新たに大手プロバイダへ変える手続きが面倒で、まだやってないんですよ。だから、いまはメールを送ったら、いちいち電話でメール送ったけど着いてる?って確認をしています」

   おおげさに言えば、利便性や安全性が向上するにしたがって、マイノリティが切り捨てられる一つのケースですよね、と言ってTさんは力なく笑いました。

井上トシユキ

>>ITとほほ観察記・記事一覧

井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
姉妹サイト