隣の課長は「熱狂的なボクシング好き」と知ってビックリ
2つ目の効用は「人となりの再発見」である。ある人物の職場でのイメージと、職場を離れた非日常でのイメージが全く異なるのは、よくある話だ。私の経験でもっとも鮮烈だったのは、新人の頃、たまたま知人の伝で入手したボクシングの世界タイトルのチケットが2枚あり、誰と行くか迷った時のことだ。
結局、その職場で最も熱狂的なボクシングファンは隣の課の課長であることが判明し、一緒に観戦することになった。それまで話をしたこともなく、営業の課長だったにもかかわらず口数の少ない職人タイプだったこともあり、升席に座った私たちは話題に窮してしまった。
ところが、試合が始めるや、寡黙だったその課長の態度は一変、絶叫で応援を始めたのだ。あっけにとられたが、私の方も呼応して絶叫し、試合自体もエキサイティングな展開だったので、会場全体が興奮の渦となった。
そんな熱狂体験を共有したためか、それからもその隣の課長とは一緒に昼食をとったり、大切な仕事の相談をするようになったりした。そんな緊密な関係になれたのは、非日常の熱狂の共有がきっかけだった。これはクラブではなかったのだが、業務外での交流は、頭で考えるよりも貴重な機会を生むことがある。もちろん、観戦を目的にしたクラブも作れるだろう。