シビアな競争で知られる外資系金融機関。実力主義の外資系では学歴など全く関係ないのでは、と思われる方も多いかもしれません。でも実はそんなことはありません。むしろ外資系では他にはちょっとないくらい学歴が偏重される面があるのです。
欧州系金融機関は「東大」が大好き
大手外資系で投資銀行部門の幹部をしている人達の典型的な経歴はこんな感じです。東大あるいはそれに準じる大学(主に文系)を出てから大手銀行あるいは同格の企業に就職。数年後に社内派遣により海外でMBA取得。その後、海外支店・支社で勤務し、英語と国際感覚を身につける。そしてその経験をいかして外資系投資銀行へ転職。
・・・要は、ぴかぴかのエリートというわけです。強いて特色をあげるとすると、日本の大手銀行の伝統的なエリートコースは人事部や総務部といった管理部門であるのに対し、外資系に転職する(転職できる)人は投資銀行部や証券部といった収益を上げる職種を経験している点です。
一方、デリバティブのトレーディングやリスク管理を行う人はとにかく理数系が強くないとなりません。そこで東大あるいはそれに準じる大学の理科系で修士号(場合によっては博士号まで)を取得しているのが一般的です。こういう人は往々にしてシャイで人見知りする場合も多いのですが、スペシャリストを尊ぶ外資系では数学の能力さえ高ければ何の問題もありません。
あるとき、彼らの一人がこんなことを言っていました。
「自分は物理の世界で一流の学者になりたかったのだが、ちょっとしたことでその道が閉ざされてしまった。しかたなく入ったデリバティブの世界。今は年収1億円をとっているが、いくらカネを稼いでも空しさは消えない」
さて広い世界から見れば日本の大学なんて大したことない、などと考えがちですね。しかし少なくとも東大に関しては「日本のトップ校」として海外でもそれなりに有名です。採用担当の外人の側からすると、ちょっとくらい面接したってその人の能力なんて測れないし、英語力で判断すると「英語ペラペラ中身スカスカ」の人を雇ってしまうおそれがある。そこでとりあえずトウキョウ・ユニバーシティ卒の人間を採用しておけば問題ないだろう、となります。特に欧州系金融機関の場合は東大を非常に好む傾向にあり、「とにかく東大を採用する」と公言している例も耳にしたことがあります。