同僚にイライラ、上司にイライラ、部下にイライラ……職場で怒りを覚える機会、多いのではないだろうか? たぶん相手のどこかにイライラのきっかけがあるのだろう。でも、実際にイライラしてしまうのは、あなたの「相手に期待する気持ち」が強すぎるからかもしれない、というのは心理カウンセラーの藤井雅子である。彼女は『人はなぜ怒るのか』という著書の中で、常に100パーセントを求める"期待値"の高い思考をやめてみては、と提案している。
期待値が高すぎると、自分も相手もつらくなる
100パーセントの結果が当然だと考えていると、たとえ90パーセントの結果であっても、マイナス10パーセントのために満足できません。
たとえば、親がテストは100点は当然だと思っていると、子どもは100点をとってもほめてもらえません。それどころか、95点をとってそれがクラスの最高だったとしても、家に帰れば怒られてしまいます。こうしたことが積み重なると、この子は萎縮して子どもらしくのびのびできなくなってしまいます。
つまり、期待値が高すぎるということは、自分がイライラしやすくなるだけでなく、期待される側にとっても相当に辛いことだということです。
(中略)
よくある思いこみの例は、次のようなものです
「○○はこうあらねばならない」(*○○の例は、女、男、主婦、親などです)
「○○でなければ幸せではない」(*○○の例は、年収×万円、美人・美男、結婚などです)
こうした自分独自の偏った信念がみつかったら、どうぞそれを「~だったらいいなあ」「~に越したことはない」と、100パーセントだった期待値を70~80パーセントに下げる練習をくり返しましょう。
また、完璧主義の人には、「ま、いっか」「仕方ない」「どうにかなる」といったある意味いいかげん(良い加減)な自己暗示もとても有効です。
そうして、もし期待値が80パーセントに下がれば、90パーセントのときはとても嬉しい気分になれます。100パーセントだったら大満足でしょう。
(藤井雅子『人はなぜ怒るのか』〔幻冬舎新書 138頁~141頁〕より)
(会社ウォッチ編集者Sのひとこと)
イライラをイライラと感じないための22のメソッドも提案されている実用的な新書。心理カウンセラーの著作らしく、怒りを「悪」とせず、自分の感情のひとつとしてちゃんと向き合うことを薦めるなど、肯定的に物事を考えているのが特徴的。