サラリーマンはどんなに頑張って仕事をしても、会社の給与規定以上の収入を得ることはできない。しかし、独立して事業主になれば、年収は仕事のやり方次第。収入を2倍にするのも夢ではなくなる。では独立後、収入を増やすにはどうしたらいいのだろうか?
自分を高く売る「交渉術」で収入は大きく変わる
頑張って働いた分収入が増える。それが、自営で仕事をする醍醐味だ。しかし、売上をもっと上げたいと思いながらも、いざ仕事の値段交渉となると、お金の話は苦手という人が多い。商談の場面で、相手から「費用はどのくらいかかりますか?」と予算を聞かれても、自分が欲しいと思っている金額を堂々と言える人は少ない。
お金の交渉に弱いタイプの人は、どうしても相手の言い値で仕事を請けることになってしまう。その結果、本意ではない金額(安い料金)で、仕事をやり続けるようなことにもなる。これでは、コラムの第7回目でお話をした、自ら赤字体質を作るパターンになってしまう。
会社にいれば、自分のスキルが評価されて、それが給料の額に反映される。そして、黙っていても給料日になれば銀行口座にお金が振り込まれる。しかし独立すると、自分の持つ技術力やスキルをいかに評価してもらえるかで、収入は変わってくる。
自分を高く売る技術や交渉術が、お金を稼ぐ力、お金を儲ける力になる。
「いい仕事をすれば稼げる」とは限らない
私が独立直後に感じたことは、「お金」に対する知識や考え方、価値観をしっかり持っていなければ、収入を確保していけないということだった。
もっと売上を増やしたい、もっとお金を稼ぎたいと思っているにも関わらず、やっていることは、正反対のことだったりすることがある。特に、技術職や制作業務にたずさわる職人タイプの人は、より良いモノを作りたいという思いから、採算を度外視して仕事をする傾向がある。会社にいれば、生産性が低いとか効率を上げるようにとか上司に言われるが、独立したら自分のやりたいようにできるため、それがかえって災いすることになる。
請けた仕事を一生懸命やれば、評価してもらえる。結果は後からついてくる。確かにそういうこともあるが、事業主になると、そういう考え方だけでは成り立っていかないことがある。事業の収益性には、お金に対する価値観や考え方が見事に反映されることを心得ておいて欲しい。
「自分がいくら稼ぎたいのか」を明確に
会社は利益追求が至上命令だ。そのため、組織のトップの経営者は、お金に対する「執着心」が必要になる。個人でやる事業でも同じことが言える。では、「独立したいが、経営者タイプとは思えない」という人は、どうしたらよいか。
大切なのは、自分がいくら稼ぎたいのか、自分が目指す生活にはいくらお金が必要なのかを、数字で明確にしておくことだ。そして、それを得るために、どんな仕事をいくらでやれば実現できるのかを徹底的に考えること。そうすると、少なくとも、値段交渉の場面で、その金額で仕事を請けていては、自分が望む生活にはどんなに頑張っても到達しないことがはっきりと分かるだろう。
独立する前には、年収目標をしっかりと決めておこう。
塚田祐子