ヨーロッパから広まった消費者保護の仕組み
農業現場のためにある管理手法であるGAPはもともと、ヨーロッパの小売業者が消費者の声を代弁して、農家(=生産者)にこの仕組みの採用を求めたのが発端といわれる。そのような農業のための管理手法をまとめた「ユーロGAP」は、ヨーロッパではいまや当たり前の取り組みとなっているそうだ。
日本でも、わが国独自のGAP、すなわち「JGAP」を整備していこうという動きが徐々に広がっており、民間の認証団体がいくつかできている。JGAPでは、たとえば、次のようなことが求められる。
・牛舎に行った同じ長靴で畑には入らない。
・収穫の前に手を洗う、手袋をする
・いつ何の肥料を畑にあげたか記録をつける
このようなことを各農家がマニュアル化して記録し、検証するのだ。工場などで食品生産のお仕事をされた方なら当たり前のことかもしれない。
だが、農業では作業マニュアルなどが整備されている農家はいまのところ少ない。GAPの導入率も現在は、全農家の5%未満ではないかと見られている。
しかしこれからは外食産業やスーパー、食品加工工場などが、トレーサビリティの観点から農家に対して栽培記録や生育記録を求めてくることが考えられる。今はまだまだ知られていなくてもあと5年もすれば、「GAP」を実施していないと売れない野菜になってしまう可能性もある。
安全なところに注文が集まる時代。農家にも、安全管理と情報公開が不可欠となる時代が近い将来やってくる。食に対する消費者の意識は刻々と変化しているのだ。
セレン社長秘書 大倉野あやか