森永卓郎先輩、そろそろ「貧困ビジネス」はやめましょう

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「大企業が全部悪い!」と叫ぶだけでは問題は解決しない

   ところで、どうも一部の人たちは、あいかわらず階級闘争史観でものをみようとするようだ。つまり、「経営者は常に虎視眈々と労働者の財布を狙っているのだ!」とか、「儲けた金を金蔵に溜め込んでいるに違いない!」とか……

   残念ながら資本と経営はとっくに分離し、経営者はサラリーマンにすぎない。彼らはリストラした分だけ自分の取り分が増えるわけではないし、余分なお金を穴に埋めて隠したりもしない。必要な分だけ投資し、配当し、労働者に分配するだけだ。

   まずは階級闘争という古いめがねを捨て、現実に向き合うべきだ。

   さて、イデオロギー馬鹿の共産党はまあしょうがないとしても、僕にはどうしても森永氏がこの程度のアングルを理解していないとは思えない。東大経済学部を卒業して経済学の教授やってるんだから、いくらなんでも財務諸表くらい読めるだろう。

   要するにこの人は、問題の解決なんてサラサラ興味はなくて、お茶の間受けするような適当なこといって稼いでるだけなんだろう。そりゃ僕だって、奥谷さんの隣でトヨタの擁護をやらされるよりも、連合の隣で「大企業が全部悪い!」って言ってたほうが全然楽ちんだ。でもね、それじゃあ問題は解決しないんですよ。

   なにより、こういう問題でいい加減な発言をするべきではない。

   確かに森永氏は大企業の社長さんなどよりも豊かになったし、若い党員の増えた共産党も大喜びだろうし、矛先をそらすことの出来た連合も一安心だろう。

   ただ、森永氏に煽られて「内部留保をよこせ!」なんてデモさせられる派遣労働者の身にもなってみるといい。彼らはありもしないものがあるのだと信じ込まされた挙句、いずれ森永氏からも社会からもポイ捨てされるだけなのだから。

   というわけで森永先輩、いい加減、公共の電波で貧困ビジネスするのはやめませんか?学歴が泣いてますぜ。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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