いま流行の「社内SNS」 本当に必要なのか

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「社内横断プロジェクト」も悪くない

   ところが、コストカットが必須のご時世に、コストを投入してさらにサボりの口実を与えるとは言語道断、と一向に議論がかみ合いません。さすがに業を煮やし、思い切って内々に社長に直訴してみました。

「社長は一言、『いいんじゃないの? 面白そうだし』って。拍子抜けしましたが、『ただし、利用や運用のルールをきちんとつくって、経理担当氏をちゃんと説得しなさい』と」

   Aさんらは、発案者グループの一人だった総務担当者に管理人を依頼、ルールづくりの会議を業務時間外に繰り返しました。注意したのは、社内SNSを会社裏サイト化させない、という点だったとAさん。安く導入できる社内SNSパッケージも探してきて、なんとか経理担当氏の首を縦に振らせました。

「いま思えば、社長と経理担当氏はグルで、ぼくらを試した、鍛えてくれたのかもしれません。若手にすれば初めての社内横断プロジェクトでしたし、企画を発想し、具体的に実行プランを詰め、説得して突破するというプロセスは、まさに仕事そのもの。その過程で、実際に異能人材も見つけましたしね(笑)」

   いまは一人で仕事をしている私も、思わず、会社員時代が懐かしくなりました。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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