「打たれ弱い」だけで解決してはいけない
仕事の注意をしたら、次の日に欠勤された――。「プリズンブレイク型」に代表されるシュガー社員には、よくあるケースです。しかし、これに対して「どうも今どきの若者は打たれ弱いな~。ハハハハ」だけで終わらせると、シュガー社員の増殖を抑えられなくなります。
最近の若手社員は、以前と比べて打たれ弱くはなっていますし、「俺リスペクト型」のように根拠なくプライドが高いのは事実です。とは言っても、注意を与える方も、人格を否定する言い方でなかったか、部下に対する好き嫌いで行われていなかったか、などを注意深く検証する必要があります。
今の中堅以上の社員・役員は、若い頃に先輩や上司から暴言を吐かれてもひたすら耐え、強くなって現在の地位を手に入れたのかもしれません。しかし、その方法は今の若手社員には「パワハラ」、すなわち権力を不当に行使した嫌がらせ以外の何ものでもないのです。
自分が受けた教育方法を、そのまま若手社員に適用すると、あっという間につぶれてしまいます。決して甘やかせということではありませんが、若手社員がダメになる原因が「打たれ弱い」ということだけでもないということを理解して下さい。
「こんなことが起こるのは、よほど古い価値観の会社じゃないのか?」と思われる方がいるかもしれませんが、自分に刷り込まれたやり方のマズさは、自分では気づきにくいものです。慎重に振り返ってみる必要があります。過保護な「ヘリ親」のクレームを受ける場合もあるでしょうが、指摘を受けて謙虚に考えてみることも必要かもしれません。
今の若手は、これまでの従業員たちとは感性が違うのです。新しいITサービスを生み出そうとするヴェンチャー企業が、マネジメントでも新鮮味を出そうとしているのは、象徴的です。仕事に不都合が起きない限り、自分と違う価値観を強く否定せず、相手の立場に立って「多様性」を受容する職場づくりをすることも、若手育成の環境づくりとして必要なことでしょう。
田北百樹子