「会社のため=あなたのため」では若手社員の心に響かない

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頑張ったご褒美は「ゆくゆくは」ではなく「いま」

    営業成績を上げて欲しい、今より高い成果を出せるようにして欲しい、会社目標の達成に向けて全力を尽くして欲しい――。そんな思いから、何らかのインセンティブ(報奨)を設定する場合、今の若手には「ゆくゆくは」という未来形で、漠然とした約束をしていては効果が薄くなっています。

    その理由は、経済や社会の変化に影響されて、見込みや約束が果たされないことが多いからです。「頑張ったら正社員」と見込んでいたのに「業績不振でそれどころじゃなくなった」とか、「目標達成したら海外旅行」を予定していたのに「いつになったら行けるのでしょうか」とか、そういう目に遭っているわけです。

    ましてや「頑張ればゆくゆくは管理職」など、何年も先のことはインセンティブになりません。プライベートを最優先させる「私生活延長型」も、会社から約束を反故にされることへの抵抗のあらわれかもしれません。

    ご褒美は長引かせるものではなく、実現可能な範囲でよいので、確実に実現することを繰り返す方が効果的です。そもそも何らかの期待があるからこそ、モチベーションも上がるわけですが、期待だけさせておいて「できない。すまん」の繰り返しでは、いつ一揆が起きてもおかしくありません。期待が裏切られると、頑張った本人に恨めしさが募るものです。「信頼は、約束と実行で築き上げるもの」と心得ましょう。

田北百樹子(たきた・ゆきこ)
札幌市出身。田北社会保険労務士事務所所長。保険関係の手続や就業規則作成にとどまらず、人事考課制度導入や社員教育など、企業の人事労務を幅広くサポートしている。「シュガー社員」の名付け親で、09年3月にはシリーズ第3弾となる『ブラック企業とシュガー社員』(ブックマン社)を刊行。
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「シュガー社員」から会社を守れ! (PHPビジネス新書)田北 百樹子

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