デザイナーたちを震え上がらせた「恐怖のフリーズ」

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「データ消失」でイチから作り直したことも……

「立ち上げの時にエラーが出て、データがなくなった」

というのは、30代のBさん。

「朝起きてMacを立ち上げようとしたら、カシャンッって音がしてエラー表示が。結局、ハードディスクが壊れちゃってて、ほとんどのデータが復旧できませんでした」

   仕事に次ぐ仕事の連続で、マシンにおかしな前兆があったかどうかさえ、実は良く覚えていなかった、とBさん。

「ぼくはコンピュータにまったく詳しくないので、とりあえず『パソコンドクター』みたいなサービスに連絡して来てもらいました。少し時間がかかるというので、自分の古いマシンには古いソフトしか入っていないし、納期も迫ってるから、Aさんに余ってるマシンを使わせてって連絡して……」

   で、やはり泣きながらイチからつくり直したそうです。つくり直しと一言で言うの は簡単ですが、作業自体は一日で終われば御の字という過酷なものです。

   しかも、その日はその日の作業予定が入っています。

「アイツじゃダメだ、といわれるのが怖いから、納期を延ばしてくれとは言い出しにくいんですよ。よほど仲が良い相手以外ね。なので、6日分、7日分の仕事量を5日ジャストでやる感じになるんですね……」

   テキストデータはメールで送り直してもらえば済んだのですが、カメラマンの画像データは事情を話して取りにいかなければならず、本当に大変な目にあったとBさんは述懐します。

   最後にAさんは、次のように話しました。

「仕事のスケジュールとか、打ち合わせの時にはケータイやノートパソコンのスケジュールソフトに入れるけど、フリーズ事故を何度も経験してからは、後で手帳にも書いて"バックアップ"を取ってる。じゃ、最初から紙(手帳)に書いときゃいいじゃん。昔のように自分の頭と手を使うやり方が結局、安心なんじゃん、って最近はIT化の矛盾を感じるよね(笑)」

   たしかに、IT革命の頃には人間の作業効率を上げると喧伝されたものですが、実際の様子を見ていると、まだまだ二度手間になっているだけのことが多いような感じがするのも事実ですね。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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