東大卒でも落とされる 「学歴」はいまでも重要か?

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   "学歴"とは何だろうか。そもそも、学歴は重要だろうか?大学全入時代なんてことも言われているが、首都圏の上位大学の競争倍率はむしろ上がっている。そこまで一生懸命に追い求めるほど、それは意味があるのか。

   結論から言えば、今でもそれなりに重要である。たとえば就職活動に際して。いまだにOBでリクルーターを組織し、特定校中心に別ルート採用を行う企業は少なくない。ちょうど今頃から囲い込みを開始し、ある程度内定者の目処が立った段階で「エントリー開始!」なんてサイトに掲載するわけだ。当然、既に採用枠の過半は上位校の学生で埋まっている。

   また、極端に競争率の高い人気企業では、いちいち面接なんてしてたら年を越してしまうので、学歴で足切りを行う企業もある。一次の筆記がやたら難しい企業はたいがいこれで、「おかしい!オレは絶対に高得点のはずだ!」というクレームを避けるためにとにかく難易度が高い傾向がある。

   ただし、これは新卒にかぎった場合の話だ。一般論ではあるが、中途採用においては学歴はほとんど重視されない。たとえば、東大卒と専門学校卒の30歳が同じ求人枠に応募して、東大卒が落とされたなんて事はよくある話で、僕自身、それに近いような話はいくつも見ている。

   では、新卒以降、入社後に重視されるものとは何か。そこにいたるまでに何を経験し、今、何が出来るかということ。そう、それこそがキャリアである。

学歴とは、競馬における「血統」のようなもの

   本題に入ろう。"学歴"とは何か。競馬で言うと血統みたいなものだ。デビューの新馬戦だと実績なんて無いから、血統はある程度重要視される。だが2、3年経つうち、今度は積み上がった実績のほうがはるかに重要視されるようになる。血統に恥じない走りを見せれば「やっぱりモノが違うねぇ」と言われ、逆だと「なんだこいつ看板倒れじゃねえか」と野次られる。その程度のもんである。

   もちろん血統にせよ学歴にせよあって悪いもんではない。大切なのはそれに胡坐をかくことなく、実績を上積みするよう努力することだ。

   よくキャリアについて話をすると、「自分には学歴と呼べるようなものがないので、キャリアなんて贅沢は言えません」という謙虚な人がいる。もったいない。むしろ「勉強は苦手だったけど、仕事なら誰にも負けないぜ」というような人間こそ、企業が転職市場で喉から手が出るほど欲しいタイプだ。どちらになるかは学歴ではなく、その後の自分次第だということは覚えておくといい。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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